「WHOは『コロナ』発生原因と伝播について説明せよ」
―安倍首相の危機対応を評価―

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会長・政治評論家 屋山太郎

 世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスの発生と伝播するに至った経過を究明し、全世界に納得する形で示してもらいたい。武漢の野生動物市場のコウモリを食べて発生したという説から、細菌研究所の実験過程で漏れたという説がある。中東戦争では化学爆弾が使われた歴史がある。中国政府はゲテモノ食いで発生させた病気なのか、武器を製造中に失敗したのかをまず明白にする必要がある。
 台湾当局は前年の12月初旬頃から、武漢滞在の台湾人や地元メディアから病気がはやっていると聞き込んだ。12月31日にWHOに「武漢で特殊な肺炎が発生し、患者が隔離治療を受けている。この問題に注意して欲しい」旨の電文を打った。これに対してWHOはほとんど無視の態度をとったようだ。というのも1月10日は武漢伝統のお祭りがあり、住民が数万人も集まって持ち寄りの料理で宴会をし、街中が盛り上がったという。武漢市は1月23日に都市閉鎖を行ったが、「人から人への感染がある」と確信していた台湾は前日の22日、全中国人の入国を原則的に禁止した。安倍首相は2月1日、武漢市を含む湖北省からの渡航禁止措置をとった。
 以上一連のいきさつから類推できることは、WHOのテドロス事務局長が全く無能だったこと。それを信用しすぎた習主席が判断(武漢市閉鎖措置)を間違えたこと。台湾が叡智を発揮したこと――である。
 この類推を証明するのが、各国のコロナウイルスの感染状況だ(感染者数は4月19日読売新聞)。
 台湾(人口2,400万人)の感染者はわずか398人(死亡6人)、日本(1億2,600万人)は感染者が1万人を超えて、死亡は224人。香港(745万人)は1,023人(死亡4人)、韓国(5,100万人)は1万653人(死亡232人)。中国本土(14億人)は8万2,718人(死亡4,632人)。
 これに対して米国(人口3億2,000万人)は感染者が実に70万6,000人(死亡3万7,000人)イタリア(6,000万人)は17万2,434人(死亡2万2,745人)、フランス(6,700万人)は10万9,000人(死亡1万8,000人)、ドイツ(8,300万人)は14万1,397人(死亡4,352人)。
 東洋人と白人国家との差の開きは異様である。世界中で死者は15万6,000人を超えたが、こんな惨事を生んだ原因はウイルスを発生させたことと、その事実を知らしめなかったことに尽きる。
 安倍内閣の支持率が下がっているが、安倍氏の危機対応は結果から見て、見事だったというべきだ。メディアは犬を抱いた首相の写真や夫人と花の写真を取り上げて貶しているが、そういう評価をすれば人はやる気をなくす。代わりがいないと言いながら、能力抜群の首相を貶してばかりいるのは、どうかしている。
(令和2年4月22日付静岡新聞『論壇』より転載)