澁谷 司の「チャイナ・ウォッチ」 -481-
「二重政権」状態が続く米国

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政策提言委員・アジア太平洋交流学会会長 澁谷 司

 昨2020年11月3日、米国では大統領選挙が行われた。
 投票に際し、バイデン前副大統領側に多くの不正(郵便投票やドミニオン計票機等)が見られた。トランプ大統領側は、州裁判所や連邦裁判所に不正選挙の実態を訴えたが、ほとんど却下されている。
 今年(2021年)1月6日、バイデン候補が上下院議会で新大統領として承認された(当日、「米議会乱入事件」が発生)。
 その後、ワシントンDCには、次々と州兵が派遣されている。その数は2万5,000~3万だという。在沖米軍数と同じかそれ以上の州兵がワシントンDC(沖縄の13分の1の面積)に集結した。そして、3月まで駐留するという。大統領の就任式を祝うには、数が多過ぎるだろう。
 1月20日、バイデンの新大統領就任式が取り行われた。しかし、本当に就任式が当日行われたのか、疑問が残る。
 第1に、就任式当日、正午前後、天候は曇りだった。しかし、晴天の中で式が進行している。
 第2に、参列者らの影が長く伸びていた。昼ではなく、夕方に式が行われた可能性がある。
 第3に、就任式はビデオ録画だった公算が大きい。テレビ東京とCNBCが同時刻にLIVE中継を流していたが、ビデオで確認する限り、両者には明らかなズレが生じている。
 第4に、バイデン新大統領が建物に入る時、入口の兵士が敬礼していない。
 第5に、21発の礼砲がなかったのである。
 他方、大統領執務室(オーバルオフィス)で、バイデン新大統領は、ハリス新副大統領に急かされて、大統領令にサインしている。だが、新大統領は、自分がどんな大統領令にサインしているのか、分からない様子が映し出された(なお、新大統領のサインも、バイデン前副大統領のモノとは異なるという)。
 また、大統領執務室(オーバルオフィス)は、本物ではなく、映画用のセットだと言われる。確かに、新大統領の座っている後ろの窓の外には駐車場が見え、車が停まっている。本物の大統領執務室は、警備上、そのような構造にはなっていない。また、夜、ホワイトハウスに灯がともらず、真っ暗である。
 ちなみに、バイデン新大統領は、ホワイトハウスの鍵を持っていないため、そこには入れないという(バイデン大統領・ハリス副大統領は就任したばかりなのに、共に、ほとんど予定が入っていないという)。
 さて、バイデン新大統領は、5日間で30本以上の大統領令にサインした。歴代大統領と比べて、異常な数である。ただし、これらの大統領令が本当に実行されるのか、疑問符が付く。果たして、官僚は新大統領命令で動くのだろうか。
 おそらく、トランプ前大統領からバイデン新大統領に、軍権が移っていないのだろう。依然、トランプ前大統領が、核のボタン(フットボール)を持っていると言われる。
 1月25日、国防総省は、マイケル・フリン将軍(「ロシア疑惑」の発覚のため、国家安全保障問題担当大統領補佐官を辞任。トランプ大統領に恩赦を受けた)の弟、チャールズ・フリンが米陸軍太平洋司令官に昇進すると発表した(日台にとっては“朗報”である)。ペンタゴンが、バイデン新大統領の指示で動いていないのは明らかではないか。
 一方、同日、トランプ前大統領は、フロリダ州パームビーチで「前大統領府」を正式に開設した。そして、同大統領が取り組んで来た今までの課題(「アメリカ・ファースト」)を引続き遂行するという。したがって、現時点で米国には2つの政権が存在していると考えられよう。
 最近、テキサス州がバイデン政権を提訴した事件で同州が勝利している。
 1月20日、国土安全保障省は、一部不法移民の国外退去を22日から100日間凍結すると発表した。そこで、パクストン長官は、同省が移民法に違反し、かつ、テキサス州との合意を破ったと訴えた。
 ディプトン裁判官は「バイデン政権には、移民追放を中止する具体的、合法的理由を持たない」と主張し、同州の訴えを認めている。
 他方、テキサス州には、合衆国連邦から「独立」する動きがある。近い将来、同州では「テグジット」という住民投票が行われるかもしれない。
 ところで、トランプ前大統領は、一体、何と戦っているのだろうか。
 一般には「ディープステート(影の政府)」(「既得権益勢力」)と呼ばれる勢力である。
 実は、1871年以降、米国内にあるはずのワシントンDCは米国外の地域となった。それは、あたかもローマ市におけるバチカン市国、シティ・オブ・ロンドン(大ロンドン内の平方マイル)と同じである。
 ワシントンDCが“都市国家”へ移行する際、バチカンからの借款によって設立された。その後、この企業体は、ずっと米国民を支配してきたと言われる。もしかすると、バチカン市国、シティ・オブ・ロンドン、ワシントンDCの3者は一種の連合体なのかもしれない。
 目下、バチカンをはじめ「ディープステート」が関係する国々では、なぜか様々な政治変動(内閣総辞職等)が起きている。面妖である。