アフガン輸送作戦と米韓同盟

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政策提言委員・拓殖大学主任研究員・元韓国国防省分析官 高 永喆

 8月末、アフガニスタン駐留米軍の撤退が終了した。
 米国にとってアフガンは死活的な国益(vital national interest)を左右する同盟国ではないので、泥沼から足を抜いたわけだ。
 今回、韓国はアフガン駐在大使館などに勤めていた現地人スタッフとその家族390人に対し軍輸送機3機を派遣して輸送作戦を行った。隣国のカタールに退避していた大使館職員4人がカブールに戻ったほか、60人の特殊部隊を派遣して、現地の避難希望者全員を脱出させた。
 当初は徒歩で空港に集まってもらう予定だったが、タリバンの通行統制のため空港入りが難しくなると、韓国は現地に戻った大使館員が米軍と直接交渉して米軍が検問所の通過を保証した貸切りバス6台を確保した。
 「ミラクル作戦」と名付けられた今回の輸送作戦が成功したのは、平素より現地の非常連絡網をきちんと点検・維持していた危機管理態勢の成果である。特に、駐留米軍との協力関係がうまく機能したわけである。米韓同盟の重要性を改めて再認識するきっかけとなった。
 一方、韓国では、一般国民の間からアフガン駐留米軍撤退の如く在韓米軍も将来的には撤退するのではないかと危惧する声が出ている。
 しかし、昨年12月、米議会の上院と下院では在韓米軍を2万8,500人以下に削減することを禁止する国防授権法が過半数を超える賛成多数で通過した。今回、米下院では在韓米軍の削減禁止を盛り込んでいない新たな国防受権法案を検討する動きがあるが、上院ではこのような在韓米軍削減案は否決されるはずだ。従って、上下両院の議会で法案が通過する可能性は極めて低い。
 朝鮮半島の地政学的な位置は大陸勢力を牽制する橋頭堡であり、米国にとっては戦略的な要衝地である。米国の現下最大の懸案である対中関係を考慮しても、米韓同盟と日米同盟は東アジアとインド太平洋の平和・安保を保つ両輪の軸(linchpin)になっている。日米韓の安保協力態勢の強化が一段と求められる。
*本稿は9月8日付「世界日報」に掲載したコラムを部分的に修正したものです。