「国際条約を弄び日本を金づるにする韓国」
―筋違いの請求をし続ける韓国に国際社会の信頼は得られない―

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会長・政治評論家 屋山太郎

 1965年にケリがついたはずの日韓基本条約をめぐって、韓国の最高裁大法院は個人賠償請求権を認め、「日本は早く払え」と韓国からせっつかれている。これを見るとあの「基本条約」の約束はどうしたのかと不可解になる。さらに払えと言っている韓国人は自らの主張が正しいと思っているのだろう。しかし払えと言われている日本側から見ると、韓国が「払え」と言っていることこそ筋違いなのだ。
 韓国は1910年に日本に併合されたが、1945年8月15日、日本が米国に負けた後、身分不分明の時期があり、彼らは〝第三国人〟と呼ばれた。日本人でもなければ朝鮮という国籍もない。警察も特殊扱いできないため、朝鮮人、中国人は特殊な権力を持って街を仕切ったり、土地を取り上げた。ほとんど軍隊も警察もない状態のため、ヤクザが鉄砲を持ち出して彼らを抑えることもあった。
 日本国政府は朝鮮半島に存在する国を「大韓民国」と認めて、とりあえず日韓2国で講和条約を結ぼうということになった。韓国の地位について、国連が「朝鮮にある唯一の合法的な政府」と認めたため、交渉が開始された。
 韓国は日本に併合されていたのが独立したのであって、日本に勝ったわけではない。勝ったことにするためには「日韓併合条約は存在しなかったことにする」しかないがこれでは歴史の偽造だ。
 賠償交渉は、韓国人と引き上げてくる日本人の財産を計算して、差額を支払うことによって、戦争を終わらせるのが普通のやり方だ。ところが財産の差がありすぎるということで、日本から無償3億ドルと有償2億ドル、合計5億ドルを差し出すことで手を打った。
 5億ドルは当時の日本の外貨準備高が18億ドルだったことを考えると「よくぞ出した」といった額である。しかしもらう側から見れば多ければ多いほどいいことになるのだろう。日本の首相を呼んでおいて、そのたびに経済協力資金をせびるという外交方式が何度も続いた。カネを取られてバカ呼ばわりされた政権が10年ほど続いただろう。しかし韓国はこのせびるやり方は続かないと見切ったのだろう。新しく考え出したのが、韓国の最高裁を突っついて個人の賠償権は残っていると言わせた。政府が最高裁を指揮するのだから、三権分立のまともな国家ではない。
 本来なら日本が支払った5億ドルを韓国政府が損害を被った人たちに配分して終わりである。ところが当時の朴正熙大統領はほぼ全額を公共事業や産業の復興に使った。本来なら「国家復興のため、賠償金は払わないことにする」と宣言すべきだった。困った韓国政府が新たな金づるとして考え出したのが、いわゆる元徴用工に新訴訟を起こさせ、日本の会社に賠償金を払わせるというもの。韓国は永遠にカネが取れると思っているようだが、国際条約を弄ぶと国が亡びるほどの反撃を食らうだろう。
(平成31年4月10日付静岡新聞『論壇』より転載)