「もうやめにしよう」と思うこと3点

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政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

 節分が近付くと「恵方巻き」なるものが宣伝され、その馬鹿騒ぎを苦々しく見てきた。恵方巻きなどという習慣が大阪など関西の一部にあったとされているが、兵庫県生まれの私も、大阪生まれの妻もそんな習慣など聞いたこともない。“節分の日にその年の恵方に向かって、巻き寿司を切らずに、黙って一本丸かじりすると幸運に恵まれる”というのである。
 どこかの商売上手が始めたこんな「慣習」に、踊らされるのはまっぴらごめんだ。CMを見ているとマグロやイクラなど高級食材をふんだんに使い、一本が1キロ以上もある数千円というものまで売り出されている。とても一人で食べきれないのでカットした映像が放映されていた。この時点で、この巻き寿司は恵方巻きではなくなっていることが分からないのだろうか。
 毎年、大量の巻き寿司が廃棄処分され、またコンビニのアルバイト店員が無理矢理購入させられることなどが問題になってきた。こんな馬鹿騒ぎに一石を投じるスーパーがあり、話題になっている。兵庫県の姫路市を中心に展開する「ヤマダストアー」だ。このスーパーが発行したチラシには、「もうやめにしよう」という見出しで、「売上至上主義、成長しなきゃ企業じゃない。そうかもしれないけど、何か最近違和感を」とあり、資源の浪費に警鐘を鳴らしている。
 もう一つが、週刊誌の不倫報道だ。まあ次から次へと『週刊文春』などがタレントなどの不倫問題を取り上げている。引退に追い込まれた音楽家もいた。不倫を暴かれた人は、「お騒がせし、ご迷惑をかけました」などと謝罪するが、俳優やタレントの不倫で私が迷惑を蒙ったことなど一度もない。迷惑を蒙ったのは、当事者の妻(あるいは夫)や子どもなど、その家族だけである。世間に謝罪する必要などさらさらない。
 男でも、女でも、妻や夫以外の異性を好きになることはある。男女の関係とはそういうものだ。その恋の行方がどうなるのか、当事者たちが決めることだ。“他人の不幸は蜜の味”と言うが、品性のない覗き趣味の報道はもう結構だ。これこそ下衆で、野暮な行為であり、倫理にも反しているという意味では、不倫ではないか。
 三つ目は、森友問題や線香問題だ。野党は一体いつまでこの問題を取り上げるつもりなのか。もう森友問題は籠池氏が逮捕され、国有地の払い下げも中止になった。この件はこれで終わりである。これ以上やるのは、安倍首相への単なる嫌がらせだ。また茂木経済財政相の事務所が選挙区で線香を配ったことが問題にされている。確かに、小野寺防衛相が過去に線香を配ったことが公選法の「寄付行為」に当たるとして地検に書類送検されたため議員辞職したことがある。こんなことを今でも行っているのもどうかと思うが、国会で大々的に取り上げることではない。必要なら検察に任せればいいのだ。
 北朝鮮や中国の脅威、憲法改正と安全保障、国会議員がやるべき課題が山積しているというのに。