「杉山晋輔新駐米大使に期待」
―在米韓国人の“対日慰安婦問題”に終止符を打つ!!―

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会長・政治評論家 屋山太郎

 杉山晋輔氏が外務次官から駐米大使に転出した。この人事は日米関係をより強化するだけでなく、米国に広がる韓国の“対日慰安婦問題”に終止符を打つことになるかも知れない。
 この欄で何度か書いたが、韓国が日本を糾弾している慰安婦問題は「日本軍が強制的に女性を狩り立て性奴隷にした」というものである。今、偽の女狩りを書いた吉田清治氏の子息が、父親の本が全くのウソであること。狩り立てたという済州島に行ったこともないことを証言している。“小説”が書かれた当時、済州島を取材した韓国の女性記者も事実でないと証言している。朝日新聞の「軍が関与した」とする資料は「軍の名前をかたって慰安婦を募集する業者がいるから注意せよ」と各県に注意した通知の類いだ。
 こういう“あいまい”な話を日本人は謝っておけば済んでしまうと考えるが、韓国や中国など中華圏の人は「謝ったからには弁償しろ」と嵩にかかって言い募る。河野談話が致命的だったのは確たる証言もないのに「事実があった」と断言したことだ。
 慰安婦は1956年までは公認の職業で、問題があったとすれば、代金を払わなかったとか乱暴したというものだったが、そういう記録はない。韓国人や韓国系アメリカ人が慰安婦像設置を運動する神経は分からない。嫌がらせをして、また金を取ろうとしているのか、文化的に自分が優位に立っていることを示したいのか。彼等には「水に流す」ことはない。
 日本外交の失敗は「すみません」と謝ることで曖昧な事実を解消できると思い込んできたことだ。安倍内閣が成立したのちも、国際的な説明は「河野談話で謝ったことでいざこざを収めよう」というのが“正解”とされた。
 しかし杉山氏は外務審議官だった2016年2月、国連女子差別撤廃委に自ら出席し、軍による慰安婦強制連行を報じた朝日新聞の誤りを指摘し、大新聞が32年後に記事を取り消したことで事実は明らかだろうと主張した。また「『性奴隷』という表現も全く事実に反する」と指摘した。私もジュネーブ駐在中、同委を取材したことがあるが、政府側から高位の官僚が出席したことはない。事実関係を正したことも皆無だった。
 この杉山理論の延長線上に、安倍氏の慰安婦問題は「最終的かつ不可逆的に解決した」との日韓合意が導き出された。
 それ以前、加藤良三氏は5年間も駐米大使をしていた大物だが、すぎやまこういち氏等が慰安婦問題でウォール・ストリート・ジャーナル紙に広告を出した際、「効かない薬の広告ほど大きいものだ」とほざいていた。この大使も「河野談話で決着」との公式を信じていたから、その公式が正しいのかどうかの議論には耳を貸さなかった。架空の事実関係を突き崩すことで相手の論拠を奪う。日本の主張が正しいと国際的に認識されれば、韓国の慰安婦像は“歴史のウソ”を語り続けることになる。
(平成30年2月21日付静岡新聞『論壇』より転載)