澁谷 司の「チャイナ・ウォッチ」 -278-
平昌五輪フィギュアスケート採点不正疑惑

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政策提言委員・拓殖大学海外事情研究所教授 澁谷 司

 2018年2月21日現在、韓国・平昌では冬季オリンピックが開催中で、連日、熱戦が展開されている。
 我が国では、フィギュアスケートへの関心が高い。周知のように、同競技では、採点が勝敗を分ける場合がある。今度の平昌オリンピックではどうなのか。
 同競技の団体戦で、宮原知子選手(女子ショートプログラム)への点数が辛かったので、ジャッジの判定がおかしいのではないかと物議を醸した。
 ここで、フィギュアスケートの採点方法(概略)を紹介したい。現在の採点法は、以下の通りである。
 採点は、大きく(Ⅰ)技術点と(Ⅱ)演技構成点に分けられる。
 まず、(Ⅰ)の技術点は、(1)基礎点(<a>要素の入り方、<b>「回転数」、<c>「レベル」)と(2)各要素のできばえ点(ジャッジが-3から+3の7段階で評価。当然、ジャンプでの転倒や回転不足はマイナス)からなる。
 次に、(Ⅱ)演技構成点は、ジャッジがそれぞれ10点満点を持ち、次の各項目に0.25点刻みで点数をつける。
 (1)スケーティング技術(2)要素のつなぎ(3)動作と身のこなし(4)振り付けと構成(5)曲の解釈。
 そして、ジャッジがつけた点数の合計に(種目ごとに異なる)“加重係数”をかけたものが得点となる。
 平昌オリンピックでは、国際スケート連盟会長が16人のジャッジを任命し、その中の9人が採点を担っている。
 前述の宮原選手のケースだが、“ジャッジ5”だけが宮原選手の3回転のトリプル・ループに対して、-3という低い点数をつけている。他の8人のジャッジの平均は+1なので、何らかの作為が感じられる。
 実は、既に終了した男子フィギュアスケートの採点には、信じがたいほどの偏りがあった。各国のジャッジが自国の選手に肩入れ(メダル獲得を応援)していた形跡がはっきり見られる。
 但し、満身創痍でオリンピックを連覇した羽生結弦選手に対しては、各国のジャッジが敬意を払っているせいか、彼の点数には恣意的な偏りが見られない。同時に、米国のネイサン・チェン選手は、ショートプログラムで転倒し、メダル争いから脱落したためか、殆どのジャッジが中立的だった。
 一方、激しいメダル争いを展開した日本の宇野昌磨選手、スペインのハビエル・フェルナンデス選手、中国の金博洋(ボーヤン・ジン)選手3人に関しては、ジャッジの露骨な点数操作が見られた。
 第1に、ショートプログラムでは、まず、“ジャッジ1”が同プログラム2位のフェルナンデス選手に対し、できばえ点(合計19点)、構成点で5項目中、4項目に10点満点をつけた。どちらも、“ジャッジ1”がつけた羽生選手の点数(合計17点)よりも上回る。
 次に、“ジャッジ9”が、ショート4位の金選手に対し、できばえ点を(合計20点)、構成点を(他のジャッジが出した7点台・8点台は1つもなく)全部9点台をつけた。
 第2に、翌日のフリースケーティングでは、“ジャッジ7”が同プログラム3位の宇野選手に対し、できばえ点の合計7点、構成点は全部8点台という低い点数しかつけなかった(構成点に関して、他のジャッジ8人は宇野選手に対し全て9点台をつけている)。
 同様に、“ジャッジ7”は同4位のフェルナンデス選手に対し、4回転サルコウ+ダブル・トゥループに対し、できばえ点に-1をつけている。他のジャッジ8人が1~3のできばえ点をつけているにも拘らず、である。
 更に、同ジャッジは、同選手に対し、構成点で5項目中、2項目に8点台という低い点数をつけた(他の8人のジャッジは誰も8点台がなく、9点台か10点満点である)。
 ところが、“ジャッジ7”は同5位の金選手に対しは、できばえ点の合計31点(羽生選手には合計23点)、構成点では全部9点台という高い点数をつけた。何という偏った採点だろうか。
 他方、“ジャッジ1”は、フリーで、フェルナンデス選手に高得点をつけた。同ジャッジは、同選手に対し、できばえ点では合計34点(羽生選手には合計29点)、構成点でも、羽生選手(48.75点)に迫る合計48.5点を出している。
 果たして、今後も、以上のような恣意的な採点方法で良いのだろうか。国際スケート連盟に再考を求めたい。