「入管法改正案」について

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お知らせ JFSS事務局

 公益財団法人国際人材育成機構の栁澤共榮会長が「入管法改正案」に係る、「人手不足に対する対応」について纏めていますのでご紹介致します。



人手不足に対する対応について


公益財団法人 国際人材育成機構
                    会長 栁澤共榮

 現在、我が国は、極端な生産年齢人口の不足に直面しております。このため政府は「入管法」を改正し「特定技能制度」を創設し、これに対応しようと考えています。
しかしながら、これについては十分な国民的議論が行われていないため、別紙のような問題が生ずるおそれがあります。つきましては、1980年代後半のバブル時の極端な人手不足に対応するために創設された技能実習制度を、下記の通り改正すれば、特定技能制度を創設することなく、直面する人材不足に対応しつつ、国際的貢献も十分可能であると思われます。ご賢察のほどよろしくお願い申し上げます。


1、技能実習制度の目的・趣旨について
技能実習制度の目的を、本来の趣旨である我が国の人手不足への対応と生産現場における労働をつうじての人材育成(国際貢献)として頂くこと。

2、対象職種の改善拡充
技能実習制度における職種については、現在の産業現場の実態に全く合致しておりませんので、これを産業現場の実態に合わせ、多能工育成の職種として頂きたいこと。例えば、対象職種を日本標準産業分類の中分類に変更すること。また、現在認められていない職種についても、産業界のニーズに応じ業所管省庁において追加して頂くこと。

3、技能実習計画に関して簡素化して頂くこと
技能実習計画については、多能工の育成を図る観点から、産業現場の実態に合わせ簡素化するとともに、認定手続の迅速化を図って頂くこと。

4、技能実習生の在留期間を、技能実習1号を1年、技能実習2号を2年、技能実習3号を5年(現行2年)とし、最長8年間として頂くこと

5、技能実習生の待遇等を改善すること
技能実習生については、日本人と同等の待遇とすべきこととされておりますが、その実効性を担保する体制を講じて頂きたいこと。

6、技能実習制度に係わる二国間協定の改善
現在の二国間協定に加えて、実習生が帰国後、日本における技能実習の成果を発揮しているかどうかフォローアップする内容を二国間協定に追加して頂きたいこと。
以上



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<別紙>
外国人労働者問題について


1、今回政府が導入しようとしている在留資格制度は、実体としては移民政策の導入です。国民による十分な議論がなされておらず、外国人労働者の受入体制も不十分で、社会の分断・混乱・治安悪化につながる可能性があると考えられます。

2、特定技能2号で認められる家族の帯同は、移民そのものですが、日本語の習得教育や、住居、教育、社会福祉その他行政サービスを提供する等生活環境整備の準備がなされておりません。また、医療保険や生活保護制度等の不適切使用の防止策も手当されておらず、社会保障費増加への対応等就労環境整備の準備も不十分と考えられます。

3、人材不足が深刻な分野の就労は、単純労働に従事することが多いと思われますが、結果としてさらなる職業の棲み分けや、社会的階層分化が起こる可能性が高く、不況時の対応も考慮しておくべきと考えられます。

4、許可された活動の範囲内とはいえ転職を認めると、在留管理が困難になるとともに、受入れ機関による外国人材に対する適切な支援の実効性が担保されなくなるおそれがあると考えられます。

5、留学生の資格外活動や外国人技能実習生制度との関係性が整理されておらず、留学生の制限時間を超えた資格外活動や、技能実習制度における産業現場の実態に合わない職種限定等の課題解決が図られていないと考えられます。

6、特定技能制度では、永住を含め日本での長期滞在を認めることになり、いずれ外国人参政権の議論が出てくると思われますが、外国人への参政権付与に係わる国民的議論はなされていないと考えられます。
以上
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