「元駐日韓国大使の対日認識に唖然」
―日韓の溝を埋めるのは困難―

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会長・政治評論家 屋山太郎

 今年の文芸春秋1月号に韓国の外交官で朴政権時代に駐日大使を務めた柳興沫(ユフンス)という人物が産経新聞の黒田勝弘氏のインタビューを受けている。黒田氏が韓国問題で第一人者であることは周知だが、柳氏とはどんな人物か。文春の説明によると2歳から小学校5年まで京都に住み、ソウル大学卒業後、内務官僚をやり、全斗換政権の政務首席秘書官、国会議員を経験。日本語は完璧で韓日議員連盟幹事長も務めた。15年の「日韓慰安婦合意」に舞台裏で関わったという。
 8ページのインタビューをゾロっと引用するわけにはいかないので、対日認識を語った4、5行のみを引用する。柳氏は日韓が理解し合えないのは、互いに「コンプレックス」を抱いていること。韓国は「現代に日本に植民地にされた」こと。日本は「古代に韓国の方が先進国だった」こと。「成長期を共に過ごした双子」と言われるほど似ているのに――と嘆いている。
 これを一読して日韓の歴史認識が違い過ぎて、これでは両国が仲良くなることは永遠にないと思った。「古代に朝鮮の方が先進国だった」と認識している日本人はいないのではないか。
 日本人が慰安婦問題で落ち着いたのは「強制連行」で連れて行かれた女性がいなかったこと。その証拠は「連行された」と言われる時期に、当時の新聞には「月給300円」の求人広告が頻繁に出ていることだ。大学卒でも月給20円という時代に300円なら楽に集まる。相手は兵隊だから金を払わない奴もいない。加えて朝日新聞が32年ぶりに慰安婦の記事を取り消した結果、史実が明らかになり、騒ぎは沈静化した。これを宣伝せず、自分がシロと納得すればいいのか。この日本人の考え方は世界では認識されない。
 韓国はどういう動機で慰安婦像をソウルだけでなく、米国やオーストラリアに建造しつつあるのか。端的に言って他の国の評判を貶めるためだ。自らの国に誇るものがない。英雄と言えば暗殺者の安重根程度。「それでは隣の国を貶めてやるか」という発想になるらしい。この発想は中華の本家、中国でも全く同じだ。いま、南京虐殺30万人と叫んでいるが、戦後、蔣介石政権の時代は虐殺の話は出なかった。1937年末の南京事件後も英字新聞で取り上げたものがない。東京裁判の時も具体的数字はなかった。南京の人口が20万人の時に、30万人を虐殺することなどあり得ない。
 中国人は外国に行くとすぐ、チャイナタウンを作ってしまう。韓国のコリアンタウンを作り、他人の国にも拘わらず、わが庭の如く振る舞う。こういう遊民が自らの地位を上げようとすれば、日本を貶すのが手っ取り早い。チャイナは常に本国との連携を保つ。外国住まいでも本国が指揮権を持つ。これに反してコリアンは国を捨ててきた者ばかりだという。まず自らの国を愛せよ。
(平成31年2月13日付静岡新聞『論壇』より転載)