澁谷 司の「チャイナ・ウォッチ」-379-
習近平主席を揶揄した檄文の登場

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政策提言委員・拓殖大学海外事情研究所教授 澁谷 司

 今年(2019年)6月、「6・4天安門事件」30周年直前に、海外で「(拙訳)中国最大の小学生は、授業を終わりにすべきだ」という檄文が現れた。作者は解滨という人物である。その檄文が30周年前後に、中国のネットにも登場した。かなり正鵠を射ていると思われるので、ここで紹介したい。以下は、その概略である。
 今度の「米中貿易戦争」は単なる貿易戦争ではなく、新たな「冷戦」と言える。仮に、両国間貿易が今年末までに均衡したとしても、米国は中国に対する監視と打撃を緩めないだろう。今の中国政府が何を言っても米国政府は信用しないからである。
 実際、米中関係は1972年のニクソン訪中前に返った。朝鲜戦争時代の両国の敵対状態に戻っている。中国国内での反米檄文や、突然放映される古い映画を見れば、米中関係の状況が深刻なことが分かるだろう。米中両国の友好は過去のものとなった。
 実は、貿易で中国を包囲する戦略というのは、必ずしもトランプ政権が始めたのではない。オバマ政権はTPPから中国を排除した。だが、トランプ政権はTPPを脱退して、一時、中国の官僚を安心させたが、対中政策はより強硬になった。
 現在、米国の共和党と民主党はあらゆる問題に対して鋭く対立している。しかし、中国問題に関して、両党は団結する。今後、誰が大統領に当選しても、米国の対中姿勢を変えることはないだろう。
 かつて朱鎔基総理(当時)が、どれほど中国のWTO加盟に貢献しただろうか。中国がWTOのルールを遵守すれば、両国の間に「貿易戦争」という奇妙なことが起こらないはずである。
 現中国政権は、個人崇拝と告発制度(学生が先生を当局に訴える)を復活させた。更に、主席の任期制を廃止し、“上山下郷運動”(「下放」)を再開しようとしている。
 中国が直面している苦境は、米中関係だけではない。昨2018年、中国の経済成長率は最低を記録し、今年はそれを更新するだろう。中国の民間企業は「国進民退」(国有企業が伸張し、民間企業が後退)で、既に縮小している。
 元来、「一尊」とは独裁専制社会の中のストロングマンの概念である。古代の皇帝、現代の大独裁者らは全て「一尊」の範疇に属する。けれども、今の「一尊」(習近平主席)は実は小学生に過ぎない。
 「一尊」は、中国で一番大きな小学生である。彼が小学校を卒業した年に「文化大革命」が始まった。彼はその後、正規の教育を受けたことがない。高校には行けずに「下放」された。彼は「文革」中の「大学」へ入ったが、これは工農兵大学である。
 また、彼は博士号を取得したという。だが、同課程の授業を受けた事もなければ、厳しい論文審査も受けた事もない。実質的には「名誉博士」である。
 「一尊」に本当に博士の教育レベルがあるとしたら、彼はどうして「白字大王」(字の読めない王様)になってしまったのか。今の中国はそんな小学生、「白字大王」(白痴)に支配されている。
 「一尊」が即位して以来、彼のしたことは殆んど先帝(毛沢東)の模倣に過ぎない。中国の私有企業は「一尊」の下、大学生の就職は大問題となっている。
 大学教授は授業で真実を話すが、「一尊」は学生に対し、教授の告発を奨励し、先帝の階級闘争哲学を復活させた。そして、「長征(“ロングマーチ”という名の共産党敗走の旅)を再び歩む」という。
 「一尊」の出世を見ても、彼は殆んど何も貢献したことがない。福建省から浙江省、上海市に至るまで、彼の業績は平凡で、少しも業績は上がらなかった。
 「一尊」が自慢している「反腐敗」運動は、単に政敵を捕らえただけである。彼が本当に腐敗を撲滅しようとするなら、全ての官僚が財産を公表すればよい。彼が「反腐敗」運動を推進した結果、腐敗はますますひどくなった。
 「一尊」が現在の地位にいるのは、彼の父親(習仲勲)の実力と功徳のおかげである。彼の父親は一生剛直でさっぱりしていて、剛直であった。
 しかし、「一尊」は父親には全然似ていない。彼の父は嘘が一番嫌いだった。一方、「一尊」は嘘が大好きである。また、「一尊」は部下が自分におべっかを使う事も大好きである。
 「一尊」の父親は中国の改革開放の先駆者だった。だが、「一尊」は初めから「改革開放」を葬った。もし「一尊」の父親が生きていたら、必ずや「授業はもう終わりだ」と言うだろう。
 この小学生は徳も才能もなく、今日のような複雑な局面や厳しい挑戦に対処する能力に欠けている。中国には多くの問題があるが、「一尊」の存在こそ、全ての問題の中で最大の問題だろう。
 けれども、「一つの尊」は歴史に名を残すことができるかもしれない。それは辞職・引退することである。自分で退陣するのは、追放されられるよりマシではないか。
 先帝は「人はおのれを知ることが貴い」と言った。中国最大の小学生は、自分を知ることが大切で、これで彼の授業は終わるだろう。