第115回
「習近平主席の防衛戦略と人民解放軍について」

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  長野禮子 

 第115回「Chat」は、JFSS顧問の古森義久氏のご紹介で、米国よりラリー・ウォーツェル氏をお招きし、5月25日に開催した。ひと月以上も経って、やっと報告を書いている次第である。この間、我が国でとりわけ注目されたのは、北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)に向けての米朝首脳会談の行方と、その仲介役を内外にアピールしている韓国の文在寅大統領、それに中国がどう絡んでくるかであった。
 これまで韓国は何度も南北融和実現を目指し首脳会談を行ってきたが、結局は北朝鮮への経済支援に利用されただけで、国際社会に対しても北朝鮮は「約束不履行する国、信用できない国」と認識させてしまうことになった。今回もその国柄を裏付けるかのように、金正恩委員長の訪中以降の北の主張や対応の変化が影響したのか、トランプ大統領は5月24日、6月に予定されていた米朝首脳会談の中止を発表した。ところが半日も経たないうちに「首脳会談を行う」となった。 
 朝鮮半島に関わる問題は、常にリスクが伴い確実性の低いものだという証左として、改めて国際社会も受け止めたことだろう。日本は安倍首相とトランプ大統領の信頼関係を軸に、それに絡む中国、ロシアの思惑を念頭に外交戦略をどう立て、どう乗り切るかが今後の課題として大きな問題となろう。
 斯くして、「米朝首脳会談」は6月12日、シンガポールで行われた。初会合に臨む両首脳は、これまでの敵対、制裁の顔を忘れ、実に融和的な表情で進められたように見受けられた。
 今回のゲストであるラリー・ウォーツェル氏は元米陸軍大佐。北京勤務は2回、アジア太平洋地域の事情にも精通していることから、次の5項目について詳しくお話いただいた。

①習氏は、台湾海峡危機、天安門事件時に重要な任務に携わる
②習氏の出発点と軍との絆構築 
③軍拡を背景としたアジアにおける覇権戦略(中国の秩序によって「中国の夢」実現を謀る) 
④中国の軍事力(特にミサイル) 
⑤日米協同で統合運用司令部を作る

 中国の核心的利益と言って憚らない南シナ海での暴挙は、最早後戻りできない状況にあり、着々とアジアの覇権を手に入れようとしている現実を改めて認識するものであった。米朝首脳会談後の米韓共同訓練の中止が決定されたが、このまま南北融和が進むことによる朝鮮戦争終結、在韓米軍の撤退等々が現実のものにならないとも限らない。その時、我が国はどういう戦略で臨むのか、最悪の状況を想定し、正に今「国難の時」であることを、我々国民は強く認識すべきであろう。

講 師: ラリー・ウォーツェル 氏(米中経済・安全保障調査委員会(USCC)委員・元ヘリテージ財団外交政策防衛担当副総裁)
通訳・解説: 古森義久 氏(JFSS顧問・麗澤大学特別教授)
日 時: 平成30年5月25日(金)14:00~16:00