第126回
「現状と挑戦」

.

 

長野禮子 

 平成最後の桜花を楽しみ、ゆく春を惜しむ・・・今年は5月からの新しい時代の始まりを前に、特別な想いで過ごす方も多いことだろう。今回は、特別顧問のケビン・メア氏をお招きし、お話を伺う。以下、要点を記し、報告とする。

現状
1、北朝鮮情勢
・ 北朝鮮と米国では、「非核化」の定義が異なっている。
・ 北朝鮮核問題で警戒しなくてはいけないのは、ミサイルの射程距離ではなく、ミサイル搭載可能な核弾頭の開発に成功するかどうか。
2、韓国情勢
・ 文政権になり、在韓米軍を韓国防衛にしか使えないように制限されつつある。
  ⇒そうなっては、韓国に駐留している意味はない。
・ 在韓米軍が撤退する可能性は低いが、ないとは言えない。
  ⇒米国としては、撤退後にどこに配置するのかを考える必要がある。
・ 文大統領は、北朝鮮との交渉の軸になりたいと同時に、平和政策の宣伝も望んでいる。
3、日米関係
・ 日米同盟の存在により、米軍の前方展開戦略が成り立っている。
・ 安倍首相はトランプ大統領を制御出来る存在である。それゆえ、米朝首脳会談が不調に終わった今、日本の役割の重要性が増している。

挑戦
1、トランプ政権
・ 同盟関係は外交・安全保障の実務家同士の関係が上手くいっているので、問題はない。
・ ロシアゲートについての特別検察官報告は出たが、民主党のトランプ大統領に対する追及は選挙まで続く。その間、トランプ政権は、新しいことにチャレンジ出来ないだろう。
2、日本
・ 日本には主権抑止(Sovereign Deterrence)が必要。
・ 自力で日本を守れるようにする必要がある。
・ スタンドオフ能力の獲得を打ち出した31中期防や30大綱の方向性は正しい。
・ 日本の防衛産業は、グローバル市場に打って出る必要がある。しかし、武器輸出には兵器の認証や輸出手続きなど、複雑な手続きがあるので、政府の後押しが欠かせない。
3、日米関係
・ 集団的自衛権行使容認によって、米国内では日本を真の同盟国と見なすようになった。
・ 米軍の前方展開戦略において、日本は重要だが、トランプ大統領自身はそれを理解していない。今後、責任分担(駐留米軍の費用負担)で摩擦が生じる可能性がある。
・ 中国に対抗するためには、統合性とネットワーク性が重要。武器の共同開発では、日本の企業もそれを提案する必要がある。

 2月末の2回目の米朝首脳会談は物別れに終わり、朝鮮半島の非核化は遠のき、文在寅大統領の親北政策の先にあった南北統一の思惑は崩れた。金正恩委員長は4月10日、制裁への対抗姿勢を強め経済の「自力更生」を表明。更に「敵対勢力に深刻な打撃を与えなければならない」と主張。民主主義国家の進める朝鮮半島の非核化、文大統領の進める南北統一は夢のまた夢となった。
 朝鮮半島情勢が再び不安定な状況になりつつある今、日米の連携の更なる強化はもとより、中露との駆け引きなど、我が国の果たすべき安全保障面での役割は益々重要なものとなる。


講 師: ケビン・メア 氏(JFSS特別顧問・元米国務省日本部長)
日 時: 平成31年3月28日(木)14:00~16:00