第127回
「韓国と中国の宇宙戦略」

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長野禮子 

 今回は、韓国から韓国航空宇宙政策法学会名誉会長の金斗煥氏をお招きし、韓国と中国の宇宙開発についてお話いただいた。
 本年2月の米朝首脳会談決裂後の5月4日、韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が北朝鮮東岸の元山に近い虎島から複数の飛翔体を発射したと報じた。米朝会談が行き詰り、制裁緩和が実現しない中での北朝鮮による米国への牽制と受け取る向きもあるようだ。
 そうした中で、日本の周辺諸国は宇宙開発に邁進している。特に中国は月ロケットの打ち上げや、電磁パルス攻撃システム(EMP)をはじめとする衛星攻撃兵器の開発をし、宇宙分野にさらなる進出を行っている。中国の動きは、平和利用という建前ではあるが、軍事的な要素を含んでいることは言うまでもない。
 韓国の宇宙法の権威であり、中国でも教鞭を取る金斗煥博士の話は、周辺諸国の宇宙開発に対する現状と問題点を鋭く指摘するものであった。先日発表された「防衛計画の大綱(防衛大綱)」や「中期防衛力整備計画(中期防)」は、宇宙、サイバー、電磁波などの新しい分野における多次元統合防衛力の構築を謳っており、周辺国の宇宙開発の現状は日本にとっても他人事ではない。
 質疑応答では今回のテーマとは別に、日韓に横たわる諸問題についても議論された。金氏は両国の未来志向的解決を望んでいるが、ボールは韓国にある。韓国の誠意が見られない今、最悪と言われる現在の状況を改善に導く妙策は見出せない。

講 師: 金斗煥氏(韓国航空宇宙政策法学会名誉会長・法学博士)
日 時: 令和元年5月24日(金)14:00~16:00