第130回
「上海からみた日中関係」

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長野禮子 

 今回お招きした片山氏は、世間でいうところのチャイナスクールで、過去35年間に5回の中国勤務を経験、長年に亘って中国を観測してきた人物である。
 尖閣問題、南シナ海における軍拡、米中の貿易摩擦など中国脅威論が叫ばれている中、日中は政治的価値観の共有は難しいが、隣国として付き合っていかなくてはならないというのが基本的認識である。その関係性は歴史上においても深い。実際、日中間の経済関係は緊密になり、留学や観光目的で来日する中国人も年々増加している。共産党政府を信頼していない中国国民はあらゆるコネを通じて海外に資産の分配を図っている。日本にもその波が押し寄せて久しい。そこに中国人の悲哀と強さがあるのも事実である。
 米中が戦略的な対立構造に入っていく中、中国から見た日本の価値が高まっているとも言えるが、尖閣諸島周辺の接続水域では連続数十日に亘る中国海警局の船舶が航行しているのも現実である。
 今回は、片山氏の長年の経験に基づいた中国観、更に、滞在する日本人の人口がイギリスに次いで5番目となった上海から見た日中関係が説得力を持って展開された。高杉晋作や五代友厚などが上海を訪れ、アヘン戦争後に清が欧米の植民地となりつつある現状を見て危機感を募らせ、それが明治維新の原動力となった。
 孫子曰く「彼を知り己を知れば百戦殆ふからず」。日本は等身大の中国を理解した上で、中国に一目置かれる存在であり続け、中国を凌ぐ日本独自の強み活かし、中国との差別化を図ることによって世界に貢献していくことが重要である、と氏は語る。

講 師: 片山 和之 氏(外務省研究所長・前上海総領事)
日 時: 令和元年7月11日(木)15:00~17:00