第88回
「ナショナリズムのグロバール化」

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長野禮子

 かつて、世界経済はG7が世界のGDPの約80%を占め、現在は約50%。  
 それに引き換え、1997年、アジア通貨危機がきっかけでスタートしたG20 は今や世界のGDPの約90%になった。  
 今回米国より一時帰国した渡部悦和氏は、イアン・ブレマー著『「Gゼロ後」の世界―主導者なき時代の勝者はだれか』を挙げ、その中で、世界は最早リーダーなき不寛容で利己的な世界へと傾きつつあり、G7(Group of seven)やG8(Group of eight)、G20(Group of twenty)といった グループを無くす傾向に向かっているとの指摘を紹介した。  
 一方、自由と民主主義を標榜し、広く世界平和を目指してきた時代から、民族や国境を越えて紛争が絶えないこの地球は、まさに「炎上する世界」と化し、強いリーダーの存在が期待される。  
 ロシアは軍事力を背景としてウクライナを併合し、シリアにまで手を伸ばす。中国が推し進める「海の長城」計画、中東諸国の不安定、ISIS等による国際テロ、英国のEU離脱、難民問題、債務危機・・・。  
 今世界に求められているのはプーチン露大統領のようなリアリストであり、決してきれい事だけのドリーマーでは乗り切れないと話す。米国の大統領選の行方も目が離せない。  
 多くの矛盾を抱えている複雑な現実を思い知らされる。 

講 師: 渡部 悦和 氏(JSFF政策提言委員・ハーバード大学アジアセンターシニアフェロー・元陸自東部方面総監)
日 時: 平成28年8月3日(水)14:00~16:00