海外から見た日本と安倍政権の国家運営

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JFSS会長・政治評論家 屋山太郎

イタリアで見た「明治100 年」
 明治150年が今回のシンポジウムのテーマですが、明治100年の頃、私は丁度イタリアで特派員をしていました。イタリアも建国100年でした。その頃の私は日教組教育で育ったせいか、日本の歴史は悪い歴史だというのが頭に染み込んでおり、そのことを考えるのも嫌でした。
 私はイタリアで自動車の運転免許を取ったのですが、試験の時に「口頭試問で受けたい人はあちら、筆記はそのまま」と言うので、私は分からない単語があると困ると思い、口頭試問の方に行きました。受験者60人中20人くらいの人達が口頭試問でした。私はここにいる20人はてっきり皆外国人だと思い、「あなたはどこから来たの?」と聞くと、ナポリだとかローマだとか言います。皆イタリア人だったのです。それでビックリしたのですが、要するに26文字を知らない人がいるのです。しかもローマ字というくらいですから発音は簡単です。
 私は記者クラブに行き、同僚の記者に「字が読めない人がこんなにいるとは驚いた。日本人はホームレスでも新聞を読んでいる」と言いました。すると「字は何字あるのか?」と聞くので、「新聞を読むのには2000字必要だ。しかし大学を出ている人であれば、大体3000字は知っている」と答えると、「嘘だ」と言うのです。「2000字も読める奴がホームレスになる訳がない」と。その時、初めてそういう考え方があることを知りました。字を知らないから職業に就けないという人がそんなに沢山いるのかという驚きです。それ以来、日本と比較する癖がついてしまいました。

中華圏の一部ではない日本の価値観
 その後、スイスに4年いました。日中友好を盛んに言っていた頃でしたので、中国人の友達もいた方が良いと思って付き合いましたが、どうしても波長が合いません。日本は中華圏の一つだと言われているけれど、これは全く違う発想だなと、その時、本当にそう思いました。
 そうしたら国際政治学者のサミュエル・ハンチントン教授(1927~2008)が1996年に『文明の衝突』という著作を出し、その中で「日本は中華圏の一部ではなく、第8極の別の国」と指摘しました。確かに、日本は1000年もの間鎖国し、その間に戦国時代、江戸時代があり、戦争もせずに参勤交代して、日本中の文化レベルが平準化と言いますか、ミックスアップされ独自の世界を創りました。