テロ事案に遭遇した場合、自分の命を守るためどうすべきか
政策提言委員、軍事・情報戦略研究所長 西村金一

 テロによる銃の射撃に直面した場合には、とにかく、テロリストの視界から瞬時に消えることだ。つまり、物陰に隠れ、あるいは地面に伏せることだ。
 最近のテロの事案をみると、テロリストがチュニジアでバスを狙った場合ではバスのボディでなく窓ガラスを、シャルリーエブドの事件でもパトカーの窓ガラスだけに銃弾が当たっていた。つまり、テロリストは人が見えるところを狙っているのだ。
 自分の命を守る基本的な教育を、私達日本国民はほとんど受けていない。故に知識がない。また、テロ対策の訓練をしていないので、とっさの時に体が動かない。
 では、個人として何ができなければならないか、テロに遭遇した場合の対処法を知っておくべきだ。対処法には拳銃と小銃の違い、小銃の音やその方向や距離によって対応が異なる。また、爆発物や化学剤などによっても対応が異なる。
 そこで、それぞれについて、個人としてどうすべきか簡単に説明する。

【小銃射撃の場合】
 @現場の空気感を掴む
   通常状態か異常な状態なのか。普段と異なる空気を感じ取れば、危機対応のスイッチをいれる。
 Aその方向を見る
   何が生起しているのか自分の目で確認する。異常事態であれば、身を隠すか離れる行動を始める。
 B銃声が聞こえれば、遠いのか近いのかを聞き分ける
   銃声と反対の方向に逃げる。できれば、拳銃か小銃かを見分ける。拳銃であれば20メートル以上離れていれば
  当たらない、だから走って逃げる。
 C小銃は狙って射撃すれば命中する可能性が高い
   だから、まず近場の物陰に隠れ、視界から消える工夫をする。自分から音や光を出さない。自分が助かりたかった
  ら、「キャー」「わー」の声や、「バタバタ」の足音を出さない。戦場などでは、誰もが声や音に敏感に反応し、その方向
  を向いてしまう。テロリストの視線を自分に向けさせないことだ。
   テロリストが狙って撃つまでには概ね3〜4秒かかるので、3秒走って物陰に隠れる、また3秒走って物陰に隠れる
  などして逃げることだ。
 D銃弾は、下よりも上に上がりやすい
   小銃射撃の反動で銃口が上を向くからだ。射撃の経験があって銃を腕と腰でしっかりと支えなければ、腰よりも下を
  撃つことは難しい。だから、できるだけ下の物陰に隠れ、低い姿勢をとると当たる確率が下がる。
 E数人のテロリストが小銃で連射
   物陰に隠れて、音を出さないように潜んでいることだ。

【爆発物の場合】
 とっさに伏せる。そうすれば、飛んでくる爆発物の破片やガラスが自分に当たる確率が減る。できれば、伏せながら両手で目と耳を覆うこと。目が負傷すると、何もできなくなるからだ。ホテルの部屋などで、厚い布地のカーテンがあると、飛んでくるガラス片などを止めてくれる。

【化学剤・核物質の散布の場合】
 人が瞬時に倒れるのであればサリンの可能性があるので、その場から離れ、出来るだけ風下にいないこと。
 撒かれたものが油(茶色か茶褐色)のようなものであれば、マスタードガスの可能性があるので、絶対に触らないこと。近くで臭いを嗅がない。それを吸い込むと肺がやられてしまうからだ。
 粉状のものは、核物質の可能性があるので絶対に触らず、その場から立ち去ること。

皆さん、上記のことを、一度は訓練してみましょう。


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