はじめに
 故高坂正堯氏の名著「国際政治」の中に「各国家は力の体系であり、利益の体系であり、そして価値の体系である。従って国家間の関係はこのレベルの関係が絡み合った複雑な関係である。国家間の平和の問題を困難にしているのは、それがこの3つのレベルの複合物だということなのである。しかし昔から平和について論ずるとき人々はその1つのレベルだけに目を注いできた。」とある。「力」とは軍事力であり。「利益」とは経済力であり、「価値」とは歴史、伝統、文化のことである。
 平成19年に誕生した第1次安倍内閣は「戦後レジーム(体制)からの脱却を唱え颯爽とスタートした。これは米国による巧妙かつ恐怖の日本弱体化政策によりもたらされたものであり、米国は先ずこの我が国の3つの体系を否定することから始めた。途中緩和、修正されたもの、日本にとって良かった政策も中にはあるが、戦後政権を担った吉田茂及びその路線継承者は「経済優先・軽軍備・日米関係重視」を基本方針として我が国を今日まで牽引してきた。


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