V 我が国を圧迫する目的のワシントン 諸条約
 1921(大正10)年秋から翌年春までワシントンで開催された国際会議は、アメリカ合衆国の東アジア戦略展開の条件整備のための会議だったといえる。ここで、@英米仏日の4カ国条約(12月13日)、A海軍軍備制限条約(2月6日)、Bシナに関する9カ国条約(同日)が成立した。
 @とAとは、先の欧州大戦で日本が勝ち組に付き獲得した「旧ドイツ領南洋諸島」に関する制海権拡大阻止の意図からであり、@の主旨は西太平洋の島嶼に対する権利の相互尊重と紛争処理に関する約定で、この成立で日英同盟は役目を終えたとして消滅させられた。アメリカの巧みな対日攻勢戦略である。つまり、日英同盟が継続しては、海軍力においてアメリカが大きな劣勢に立つので、日英を切り離し、米英・対・日本で絶対優位に立つ見え透いた魂胆だった。Aの主旨は、条約名が示す通り、帝国海軍の強力化阻止である。


続きをご覧になりたい方は...



ホームへ戻る