【特集】 日中間の争点「尖閣諸島」再考


日中間の大陸棚境界画定問題

研究員・日本安全保障戦略研究センター 井内由美子
iuchi 東シナ海においては、油ガス田開発問題をめぐって、日中の対立が続いている。この対立の根本的原因は、東シナ海において日中間の大陸棚境界画定がなされていないことにある。
 国家は、自国の領域の中で管轄権を行使する。境界は、国家の管轄権の及ぶ範囲を定めるものであり、境界が未確定であると、管轄権が競合する区域が発生してしまう。本稿では、東シナ海の日中韓大陸棚境界画定問題を概観すると共に国際法の観点から若干の検討を行う。

1. 経緯
(1)中国側による開発と、日本による抗議
 東シナ海における境界画定問題が生じる契機となったのは、1968年、国連アジア極東経済委員会(ECAFE)によって、東シナ海の海洋調査が実施され、同海域に石油・天然ガス埋蔵の可能性が報告されて以降のことであると言われている。
 その後、1990年代初頭から、中国は東シナ海での資源探査に本腰を入れ始め、調査海域は中間線の日本側にも及び、1995年12月には日本の国会でも取り上げられたが、当時の河野洋平外務大臣は「日中関係の重要性にかんがみれば、こうした問題について両国は静かに理性的な話し合いを行う必要がある」と答弁し、特段の行動はとられなかった。

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