【特別研究】フランスからのインテリジェンスリポート(その2)

最近のフランスのテロ・セキュリティ対策

国際ビジネスコンサルタント 吉田彩子氏
yoshida  最近のフランスは、高い失業率など経済低迷が続く中、マグレブ・西アフリカ諸国出身の移民2世・3世のアイデンティティ問題、宗教問題、ゲットー化(貧困住宅密集地区)問題、貧困層の増加、犯罪の増加など、多くの問題を抱えている。その中でもとりわけ治安・セキュリティ問題は、3月末に就任したヴァルス首相(元内相)にとって重要課題の一つとなっている。

最近のフランスのセキュリティ情勢
 治安・セキュリティ問題の中でも、特にジハードのためにシリアに渡航する若者の増加や、その若者たちの帰国後のテロに関わる動向に対する懸念など、“若者のイスラム過激化現象”が新たな課題を提起することとなっており(参考資料『季報』Vol.60 P.45「フランスからのインテリジェンスリポート」その1)、ヴァルス首相は、「今迄に直面したことがない最大の脅威」と発言している。
 ICSR (The International Centre for the Study of Radicalisation)によると、2011年から2013年の間に1万1000人の外国人がシリアの内戦に参加しているとされ、国際的にも問題視されている。フランスに関しては、現在、250人ほどのフランス人がシリア内戦に参加しており、既に25人が死亡したという。また、120人が内戦参加のために渡航計画中、または渡航中であり、内戦から帰国した者は130人に上るという。加えて、30人の未成年と116人の女性も何らかの形でシリア内戦に関わっているという。ここ数ヵ月でこれらのジハーティストの数が75%ほど増加しているという現実に、カズヌーヴ内相は警鐘を鳴らしている。

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