【特集】米・露・中・韓情勢が及ぼす日本への影響

韓半島の分断70年間を振り返る
― 大韓民国の建国革命はどこまで進んだのか? ―

統一日報主幹・元駐日韓国大使館公使 洪熒氏
kou 韓半島の分断は歴史の必然だったのか?
 東アジアの「現状変更」は避けられない。それは、巨大経済力を持った中国が現状変更を追求しており、更に危険極まりない野蛮的暴圧体制の北韓が核ミサイルの実戦配備を強行しているからだ。北韓の核ミサイル実戦配備は、韓国にはこのままでは北韓の言いなりになることを意味し、中国の覇権追求を認めるのは韓国のフィンランド化を意味するからだ。というのは、韓国も今の韓半島分断状況(1953年体制=停戦体制)を打開する積極戦略が求められる状況に追い込まれているのだ。それは、韓国としては生存と自尊のためにも正当な権利として進んで先制的現状打破に出なければならないという意味だ。

 そもそも、韓半島の分断は歴史の必然だったのか? 歴史に因果関係はあっても必然はない。韓半島の分断は、第2次世界大戦の産物だ。スターリンは戦後を考えながら戦争をし、米国は戦争を早く終息させることにばかり集中し、日本は戦争の開始も終結も支離滅裂だった。これが戦後の国際秩序を作ったのだ。韓半島の分断を一層固着させたのは、その戦後状況を軍事力で打破しようと金日成が起こした「6.25南侵戦争」(韓国戦争)だった。

 来年はちょうど韓半島が分断されて70年になる年で、韓日国交正常化50周年でもある。この節目を迎えて、韓・日両国の今後の良好な関係を作るために、この分断状況を克服しようとする韓国の愛国勢力(保守右派)の現代史に対する認識とビジョンを知る必要がある。韓半島こそ東アジアの将来を考える上で基礎になるためだ。つまり、日本軍の武装解除のための分割占領だったはずの韓半島が東西冷戦の主戦場になり、今日に至った経緯と状況を把握することは東アジアの未来を考える上での出発点である。

 韓半島の現代史など歴史認識は、人々や国家間でずれや対立があるのが正常だ。だが、実はそのずれが言葉の不正確さからくることが多い。所謂用語の混乱だが、特に、漢字圏では同じ漢字で書かれた言葉だから誤解されやすいのだ。しかも、その用語(言葉)が「保守」、「進歩」、「左翼」、「民主主義」、「民主化」など慣れているつもりの言葉なら、混乱と摩擦の可能性は高くなる。実際、韓半島の現代史に対する誤解や先入観の多くは、こういう用語の混乱から生じると言える。尤も、「用語混乱戦術」は冷戦で「左翼」の宣伝煽動技法として彼らの得意分野なのだ。同じ漢字圏での用語混乱からも東アジア問題の難しさが分かる。

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