【特別研究】フランスからのインテリジェンスリポート(その3)

アフリカ・サヘル地域におけるテロリズム動向とフランスの対テロ戦略

国際ビジネスコンサルタント 吉田彩子氏
yoshida マリ紛争とフランスの軍事介入―セルヴァル作戦からバルハン作戦へ―(1)
 現在アフリカ大陸のサヘル(sahel)地域(図1)では、イスラム過激派グループの活動が極めて活発化している。それに対し、関係諸国、地域機関、そして国際機関が対策を立て、治安の悪化を防ぎ、安定した経済発展、そして社会づくりのために解決策を模索している状況と言える。
 国連ではCTITF(Counter-Terrorisme Implementation Task Force / UNCCT (UN Counter-Terrorisme Centre) )が対テロ戦略を立て活動している。AU(アフリカ連合)でもテロリズム対策が漸く重要視され始め、9月2日にはナイロビにおいて初の対テロをテーマとするサミットが開かれた。また、フランスは、8月1日より、サヘルにおける対テロ作戦であるバルハン(Barkhane)軍事作戦を開始、軍の再配備を実施している。米国もサヘル地域に特殊部隊、民間業者、偵察機や無人機の導入により、軍事活動範囲を少しずつ拡大している。
 ここでは、サヘル地域を中心としたイスラム過激派の動向(図2)と2012年に始まったマリ紛争から2013年のフランス軍事介入を振り返り、新たなバルハン作戦を含むフランスのアフリカにおける対テロ戦略、対策・方針に基づき、現況を分析する。

■ サヘルを中心としたイスラム過激派 グループの動向
 現在のサヘルにおけるテロリストグループは、90年代のアルジェリア内戦で活動していたグループに発している。当時、GIA(武装イスラム集団、1992年に設立)と呼ばれるイスラム過激派テロリストグループが有名になり、その後1998年にはGSPC(Groupe Salafiste pour la Predication et le Combat)と呼ばれるGIAの分派が設立された。GSPCは、2006年にアルカイダに忠誠を示すようになり、翌年からAQIM(al-Qaeda in the Islamic Maghreb イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ)と名乗るようになった。

続きをご覧になりたい方は...



ホームへ戻る