【特別研究】フランスからのインテリジェンスリポート(その4)
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アフリカ・サヘル地域におけるテロリズム動向とフランスの対テロ戦略A
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研究員・S.Y. International代表 吉田彩子氏
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フランスの対テロ軍事作戦「バルハン(Barkhan)作戦」と懸念されるアフリカにおけるIS(イスラム国)の影響
(前号Vol.62“マリ紛争とフランスの軍事介入―セルヴァル作戦からバルハン作戦へ―@”のつづき)
■ バルハン作戦
仏ルドリアン国防大臣は今年7月14日、サヘル地域における対テロ政策の軍事戦略として、マリにおけるセルヴァル(Serval)作戦とチャドにおけるエペルヴィエ(Epervier)作戦に代わる、バルハン(Barkhane)作戦を8月1日から開始すると発表した。この作戦は、2月16日に創立されたサヘルG5諸国(モリタニア、マリ、ブルキナファソ、ニジェール、チャド。図1参照。)とのパートナーシップの中、地域全体のセキュリティ政策を連携させながら、武装テログループの撲滅を目的としている。バルハン作戦の活動範囲はニジェール北部やチャドにわたり、武装グループの巣窟とされるリビアへもより近づくことになる。
投入兵力は、兵士3,000人、そして、ヘリ約20機、装甲車200両、補給車両200機、戦闘機6機、無人偵察機3機、戦略戦術輸送機約10機である。統合司令部はチャドの首都ンジャメナ(Njamena)に置かれ、ジャン−ピエール・パラセ(Jean-Pierre Palasset)将軍の指揮下に作戦が展開されている。優先的活動地域として、セルヴァル作戦終了後にテロリストらが再び戻り活動しているとされるマリ北部、そしてリビア国境近くのニジェール北部が挙げられる。ニジェールのマダマ(Madama:リビア国境から約100km。植民地時代に要塞があったところ)に現在作られている一時的前線基地は特に戦略的とされ、リビア南部からマリ北部へ流れる供給ルートを遮断することが重要な狙いとなっている(図2、図3参照)。
2013年1月に開始したセルヴァル作戦は、もともと短期戦であり目的がはっきりしていた。イスラム過激派の攻撃から首都を守り、武装グループを制圧し、その成果を挙げたとして、セルヴァル作戦を終了した。そして、継続性を持った新しい戦略的アプローチとして、長期戦と予想される対テロ作戦「バルハン作戦」が掲げられたのだ。
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