【特集】戦後70年、我が国の外交と安全保障を考える

日本と国連の70
―安全保障理事会の決議と日本の対応

常務理事・防衛法学会理事長 井 晉
はじめに
 国連は、1945年10月24日に設立され今年で70周年目を迎え、来年は、日本の国連加盟60周年目になる。日本は、2014年10月に11回目となる安全保障理事会の非常任理事国(任期2年)に選出されたが、この事実は、世界各国とりわけアジア・アフリカ諸国が、国連の活動に対する日本の関与に大いに期待していることの表れである。日本は、これまで13の国連PKO等に自衛官等を述べ1万人を派遣し、今や国連への拠出金は世界第2位の約200億ドルに達している。国連は、安倍政権の「積極的平和主義」と不可分の関係となっている。
 1957年に策定された「国防の基本方針」は、「国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する」(第1項)とし、「外部からの侵略に対しては、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果たし得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する」(第4項)と規定している。日本は、安全保障の分野で大きく国連に依存しているのである。
 国連は、世界唯一の集団安全保障機構であり、集団的措置を決定するのは安全保障理事会である。国連の集団安全保障を補完する国連PKO、国連政治・平和構築ミッション、有志連合軍の活動等は、全て国連安保理の決議に基づいて行われる。国連の設立目的には、これら安全保障上の問題の解決だけでなく、加盟国間の経済的、社会的、文化的或いは人道的な問題を解決し、人権や基本的自由を尊重するために国際協力を達成することも含まれている。
 本小論は、日本が外交・安全保障政策の遂行に際して、所謂、国連中心主義を標榜してきたこともあり、これら日本の政策と不可分の関係にある安全保障理事会の決議に焦点を当て、70年間に及ぶ日本と国連との関係を振り返るものである。

続きをご覧になりたい方は...



ホームへ戻る