【特別研究】フランスからのインテリジェンスリポート(その5

若者達を惹き付けるイスラム過激派イデオロギーとグローバルテロの脅威
―フランス連続テロ事件から考える―

研究員・S.Y. International代表 吉田彩子氏
yoshida 1月7日から3日間に亘って起きたイスラム過激派連続テロ事件は、1995年以来20年ぶりにパリで起きた悲惨なテロ事件となり、合計17人の死亡者を出し、人々を恐怖と不安に陥れた。そして、この事件は、移民系フランス人1が起こした“ホームグロウンテロ”でもあり、事件後には、“移民系フランス人のアイデンティティ問題”や“フランスでのイスラム教のあり方”なども問題視されることとなった。仏政府は、今までのテロ対策の見直し、そして改善を目的として力を入れているが、依然としてテロが起こる可能性は高いままである。また、現在約1,400人のフランス人がイラク・シリアにおけるジハート(聖戦)ネットワークに関係しているとされ、その数は増える一方であることなどの背景もあり、特にイスラム過激化問題の解決が重要視されている。
 フランスでの連続テロ事件後には、1月15日にベルギーでテロ未遂事件が起こっており、16日には、ドイツ・ベルリンにおいても数十カ所でイスラム過激派・ジハードネットワークに関係するとされる人物の家宅捜査・逮捕が行なわれ、1月24日には、スペインで、モロッコ系スペイン人兄弟の逮捕事件が起こっている。更に、2月14日にデンマークでもテロが起こり、ヨーロッパレベルにおけるテロリズム対策強化を緊急に行なわねばならないことが明らかになっている。
 また、ヨーロッパだけでなく、世界各国からジハードに参加する若者が増える中、対テロリズム戦、特にシリア・イラクにおけるダーイッシュ(「イスラム国」は国家とは認められていないことから、仏ではダーイッシュと呼ぶ)撲滅は国際社会全体における最優先課題ともなっている。
 日本においても、ダーイッシュによる日本人人質殺害事件から、テロリズム対策、そして海外邦人保護などにおける危機管理に関する議論が再び活発化している。

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