【特集】第32回定例シンポジウム「『歴史戦』をどう闘うか」
《報告》
「米国・中国・韓国の歴史認識を糾すには」

「歴史通」編集長 立林昭彦
 立林でございます。先般、天皇皇后両陛下がパラオにいらっしゃって、非常に感動的なシーンが沢山ありましたが、なぜ巡視船で行かなければならなかったのでしょうか。普通の国であれば、軍艦……軍艦と言うと朝日新聞に叱られますが(笑)、普通はあのような場合は護衛艦で行くのではないでしょうか。このことを大変疑問に思いました。
 パラオには韓国が建設した立派な橋がありましたが、20年足らずで崩落しまして、その後日本がそれに代わって新しい橋を建設しました。「日本・パラオ友好橋」と名付けられ、今その橋が架かっているのですが、そこからほんの150メートルほど離れた所に、日本軍が朝鮮人を強制的に働かせ犠牲者が出たということで石碑が立っているということです。慰安婦像ではなく慰霊碑なのが多少救いですが、遠いパラオにまで韓国は熱心に“恨(はん)”の「記念碑」を建てているわけです。
 こういうのを見ておりますと、私は米国で慰安婦像が次々と建てられることに大変腹立たしく、見苦しく、苛立ちを覚えますが、美的感覚からはほど遠い像なので、暫くしたら忘れられるのではないかと思っています。例えば上野公園には西郷さんもロダンの「考える人」もあるのですが、それをシゲシゲと見ている人もいないので、慰安婦像もまたわざわざ訪ねて行って記念写真を撮ろうという人もまずいないのではないかと思います。大変腹立たしい出来事ではありますが、建造物として見た時に、やはり風化していき、そのものは忘れられていくのではないかと思います。問題はそこに至るソフトの面ですね。反日キャンペーンという部分が一番問題であろうと思います。
 翻って今、日本国内の動きを見ておりますと、北朝鮮の朝鮮総連の会館売却問題で、日本のラスプーチンみたいな“怪僧”や元政治家など、この件についての応援団みたいなのが暗躍しております。それを見ていますと海外での慰安婦像云々ではなく、今後は私財を提供して慰安婦観音を建てて下さいというような人が出て来るのではないかと案じています。むしろそういう場合、外国人に対する色々なアプローチも大事なのですが、日本国内の、所謂、反日的な、或いは“良心的”な人たちに対するアプローチを、我々はもう少し丁寧にやって行かなければならないのではないかと思います。例えば本席は私も含め保守的な、物の道理の解った方々が多いのですが、やはり理解できない人にどうやって解ってもらうかという努力をしなければいけないと思います。

下関条約から対華21ヵ条まで
 今年は戦後70年ということで、先程来、各先生方が色々とお話をされましたが、丁度この4月は日清戦争が終結した下関条約から120年目であり、私が編集長をしております『歴史通』でも色んな特集を組んでいます。その中で雑誌に盛りきれなかった話で、最近気が付いたことをご紹介したいと思います。


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