私は、沖縄の祖国復帰前の昭和45年から沖縄と本土を往来し、復帰後の昭和50年からは、沖縄に住み続けながら国旗国歌推進沖縄県民会議や、元自衛官としての立場から沖縄県隊友会副会長などの役員を務めた。沖縄県にまだ予備自衛官制度が実施されてない時に海上自衛隊の予備自衛官として奉職し、招集訓練は九州の部隊で受けながら43年間連続して訓練召集に出頭した。また、沖縄でのボランティア活動として遺骨収集などもしてきた。そうした関係で、これまで本土から来島する多くの遺族や自衛隊関係者、ジャーナリスト、歴史学者などを集団自決の現場や戦争体験者の家などに案内してきた。
その中で今、私が書こうとしている集団自決については、2015 年 4 月 25 日に『「強欲チャンプル」沖縄の真実―すべては “軍命令による集団自決” から始まった』が飛鳥新社から発売された。執筆者はジャーナリストの大高未貴氏である。大高氏はこの問題に長い期間をかけて多くの集団自決の生存者や地元の関係者、また旧軍の関係者を丹念に取材した。そのことがこの本に書き尽されているのである。
敢えて言うなら座間味島と渡嘉敷島の集団自決を見事なまでに問い詰めて真実を追求した集団自決の書物は、この本をおいて見当たらないのではないかと思う。本のタイトルを見ると強欲な沖縄の強かさを書いた本と誤解されるかも知れないが、集団自決軍命令の虚構を暴く重要な意味合いを持つ本であるので参考にしてほしい。その後に、私が「集団自決軍命令の虚構を暴く」とのタイトルで書くことには抵抗もあるが容赦願いたい。
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