1.ランド研究所との戦略対話対話の概要
日本戦略研究フォーラムでは、去る1月19日、米国のランド研究所の代表団を迎え、日米の防衛戦略について約3時間に亘り戦略対話を実施した。
ランド研究所は、1946年に米陸軍航空隊(米空軍の前身)が軍の戦略の立案と研究を目的として設立した米国で最も著名なシンクタンクの一つで、米国政府と極めて近い関係にある。
対話には当フォーラムから平林博会長、用田和仁政策提言委員を中心に9名のメンバーが参加した。
当方としては、特に島嶼防衛における日米協力及び昨年ランド研究所が発表した「米中軍事スコアカード」の中で示された、2017年には台湾紛争シナリオで中国が米国に対して優位に立つとの記述に関して意見交換することに関心があった。
ランド側の来訪メンバーは当初9名の予定であったが、直前になって米中軍事スコアカード及び南シナ海問題の担当者が出席できなくなったため、団長のスコット・ハロルド博士以下、政治、外交、情報関係専門家のみ6名の参加となった。
最初に我が国の防衛構想についての説明を行ったが、ランド側に軍事戦略の専門家が不在のため、説明は熱心に聞くものの、内容に深く立ち入ることはなく、また期待していた米中軍事スコアカードについての説明や東・南シナ海問題についても深い議論に発展することはなかった。
対話についての所感
今回の対話で印象に残ったのは次のような事項である。
@ 米中軍事スコアカードに示されたように、米中間の軍事バランスが中国優位に傾き、台湾海峡の海空優勢が維持でき
なくなった状況下で、人民解放軍(PLA)による侵攻があった場合の日米の対応について質問したところ、ランド側から
「中国による台湾侵攻は、中国側が気が狂うようなことでもない限りあり得ない」と軍事的な対応の必要性を否定するよ
うな楽観的な発言があり、それ以上議論がかみ合うことはなかった。
しかし、その中で当フォーラムが提唱する「日台関係基本法」の制定の必要性については賛意を表する発言があった。
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