安倍発言に対する米紙の批判記事
―偏向した歴史認識に捉われない真相報道の究明を―
理事・政治評論家  屋山太郎 
 

 安倍首相の靖国問題や、中韓両国に関わる発言についてアメリカの新聞が相次いで非難している。「侵略の定義は国際的にも定まっていない」などと述べたことに対し、ウォ―ルストリート・ジャーナル紙は4月27日付の社説で「安倍氏の恥ずべき発言によって日本は外国での友人を持てなくなる」と批判した。また、安倍政権を一貫して評価してきたワシントン・ポスト紙も「安倍氏は歴史を直視することができない。中国や韓国の怒りは理解できる」と書いた。米側の評論家は「米国は安倍首相にもっと冷静な言葉遣いをするよう求めるべきだ」とも述べている。
 ナチスの宣伝相パウル・ヨーゼフ・ゲッべルス(1897〜1945)は、「嘘も百遍言えば真実と見做すようになる」と言ったが、中国や韓国の言い分を検証すれば政府が自国民さえ欺いて、反日感情を煽ろうとしていることがはっきりわかるはずだ。
 韓国が一貫して取り上げているのが従軍慰安婦問題である。日本側は1965年の日韓基本条約の締結で財産・請求権問題は全て片が付いたとの解釈である。実際に、慰安婦問題が話題になったことはなかった。話題になり始めたのは1982年に吉田清治という詐話師が「私の戦時犯罪 従軍慰安婦強制連行」という本を書いてからである。中身は全くのウソ話で、「済州島で206人の女狩りをしてレイプした」との内容である。テレビ化されて大騒ぎになったが、済州島の女性記者が疑問を抱いて、村の古老を取材したところ事実無根だった。その旨は89年8月14日付紙面で報道している。吉田も「ウソも書いた」旨を述べている。
 戦争の終る前年、1944年7月22日付の「京城日報」があるが、ここに「慰安婦至急大募集」の広告がある。「月収300円以上」とあるが、当時の女工の月収は20円だったことを勘案すれば“強制”などする必要もないほど人が集まったはずだ。「従軍」「強制連行」「女子挺身隊」といった軍語が慰安婦につけられたこともない。またこの募集は「韓国人」に限られたものでもない。
 戦後10年ほどで公娼制度は無くなったが、慰安所は公認の施設として日本にも韓国にも存在した。性道徳の向上によって日本では1958年に「公娼禁止」となったが、日本でも韓国でも、浚ってきて奴隷扱いすれば犯罪だ。この点、アメリカの奴隷制とは質的に異なる。
 日本は韓国を併合したのであり、欧米のように植民地にしたのではない。併合というのは現地人に日本人同様の待遇を与えるもので、欧米のように収奪したわけではない。朝鮮でも台湾でも日本の出費は本国財政を揺るがせた。
 日本は韓国・北朝鮮に合計4200の小学校を建て、4%だった識字率は61%にまで上がった。その10年ほど前には朝鮮にも台湾にも帝国大学を設立した。英、米、仏、蘭は何百年も前からアジアに植民地をつくったが、小学校一つ造っていない。
 ジャーナリストなら、植民地支配の実態を勉強し、韓国のウソを見破って欲しい。


                                                                                                                        (平成25年5月2日付静岡新聞『論壇』より転載)
 
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