橋下氏の「慰安婦」発言に噛みつく韓国
―「従軍」「強制連行」のウソを糾す―


理事・政治評論家  屋山太郎 
 

 橋下徹「日本維新の会」共同代表(大阪市長)の慰安婦問題についての発言が、政界や韓国・米国にまで波紋を広げている。橋下発言についての間違った考え方の一つは「折角収まっている問題に火をつけた。政治的に拙劣だ」というものである。慰安婦問題はねじれた解釈やこれを宣伝に使って日本のイメージを崩そうという韓国などの思惑があって真実が現れていない。事態を隠そうとか収めようという日本流の発想で河野談話、村山談話などが出され、国民までが真実を知らないでいる。
 まず、戦時中、日本軍が基地のそばに慰安所を置いていたことは事実である。日本軍はこれを悪いことだとは認識していなかった。なぜなら公娼は公に認められた制度だったからだ。
 手元に1944年7月26日付の「京城日報」があるが、ここに「慰安婦至急大募集」の広告が「今井紹介所」の名で出されている。基地名は伏せてあるが「月収300円以上(前借3000円迄可)」とある。当時女工の月給は20円、大学出が30円といわれたから、ワンサと人が集まったはずだ。当時は日本も貧しく親が娘を女衒に売ることもあった。韓国がいう「強制連行」などはする必要もなかったはずだ。日本政府は「意に反して慰安婦になってしまった方はなかったはず」と言うべきだったし、当時は「従軍」という呼称もなかった。にも拘らず、河野洋平官房長官は、身元調査もせず、聞き取り調査だけで「強制性があった」との談話を出した。
 公娼制度は1958年に廃止された。それまでは売春は犯罪ではなかった。米国議会やジャーナリストがいう「性奴隷」とは全く違うものである。アメリカに奴隷制度があった時代、女奴隷は性の道具にされる場合があったろう。単なる性奴隷と金を貰う売春とを同一視して日本を非難するのを偽善というのである。米国人は言うだろう。
「あの時代は許された。罪深いから奴隷制度をやめたのだ」と。日本も女性の人権に目覚めてすっぱりやめた。
 私は終戦時、焼夷弾で全身を火傷した父親に付き添って都内の病院にいた。顔面を包帯で覆って新聞を読めない父に代わって毎日、新聞を朗読した。その記事の中に読めない漢字があり、父に「女を3つ書いた字は何と読むの」と聞くと「それは強姦の姦の字だ」と教えられた。「米兵による強姦続出」という記事が連日続いた。ある時から検閲が始まって強姦事件が出なくなったが、事件が無くなったわけではない。
 石原慎太郎氏が「軍と売春はつきもの」と言ったのは間違っていない。
 村山談話の「侵略」については安倍首相が言うように、後世、歴史家が判断するものだろう。イギリスは100年インドを植民地としながら、学校ひとつ建てなかった。日本は韓国を36年併合して5200の小学校と師範学校や高等学校を1000以上建てた。

                                                                                                                        (平成25年5月22日付静岡新聞『論壇』より転載)
 
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