安倍晋三氏は総理就任以来、米国、東南アジア、中東と“地球儀外交”と言われるほど世界を駆け回っている。国際的に影が薄くなった日本を世界にアピールするのに有益だ。
しかし訪問国が多くても万遍なく回ったわけではない。第一次安倍内閣の頃から安倍氏が掲げているのは「価値観外交」である。自由主義、民主主義、基本的人権の価値を共有する国との交流を一義としている。中東には民主主義や基本的人権が危しい国々があるが、交わりつつ指導していきたいという思いがあるのだろう。
歴代内閣と殊更違う姿勢は中国と韓国に対する態度だろう。当初は中国に対して互恵平等と言っていたが、靖国問題で文句をつけられ、中国に対して「ならば当分放っておこう」と腹を固めたようだ。中国は、靖国問題で攻撃すれば日本の左翼が呼応して政権を揺さぶってくれる味を覚えた。が、このところ社民党、朝日新聞が躍るほど日本国民が動揺しない。靖国参拝は三木武夫首相までは歴代首相は8月15日に参拝していた。これについて共産党から「参拝するのは私的か公的か」と問い糾されて、三木首相は「私的参拝」と答えた。公的参拝はまずいという判断だと天皇の参拝はどう見るべきか。そもそも天皇の資格は公的存在であって私的ではない。それを問われた内閣法制局が、政教分離の建て前からすると「重大な問題を含んでいる」と答えた。天皇は翌年から靖国参拝をされなくなったが、靖国神社がA級戦犯を合祀したのは天皇が参拝をやめられてから3年後である。
靖国参拝問題はまさに朝日新聞と社民、共産党が起こした事件であって、朝日新聞は「アジア諸国が反発する」と今でも書いているが、反発しているのは中国と韓国のみである。韓国は日本と戦争して独立したわけではないから、首相の靖国参拝に反対する理由は全くない。戦時中、日本国民であった台湾人、朝鮮人の5万柱が靖国に祀られている。韓国が強烈に靖国参拝反対を言い出したのは、中国が尖閣諸島で日本と対立を始めてから、真似をし出したのである。
朝鮮(南北)はもともと1000年に亘って中国の属国だった。日清戦争は朝鮮の独立のために戦われたもので、日本の勝利によって「朝鮮の独立」が確認されたのである。1910年の併合以来、朝鮮の経営には予算の15〜20%が投じられ、太平洋戦争後は1965年に日韓基本条約が結ばれ5億ドルの経済協力資金が支払われた。朴槿恵大統領の父・朴正煕はこの資金をもとに「漢江の軌跡」と呼ばれる経済復興に成功したのである。
朴槿恵大統領は米、中を訪問し、日本を除いたことで外交的ポイントを上げ、支持率が60%と高いようだが、韓国経済は崖っぷちに立っている。日本の部品がなければサムスンも現代自動車も立ち行かない。特にウォン安で物価は上がり賃金は下がっている。まともな“歴史観”を持たないと、再び中国の属国になるぞ。
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