歴史的事実捏造で反日を拡大する韓国
―日韓基本条約を理解できない国―

理事・政治評論家  屋山太郎 
 
 中国と韓国、北朝鮮が国連安保理の討論会の場で“日本叩き”を始めた。本来、この討論会は他国を攻撃する場ではないのだが、今や三国は日本叩きの正念場と思い詰めているようだ。
 日本はこれまで、靖国問題や慰安婦問題で相手に反論するということをしてこなかった。もともと日本人は弁解がましいことを潔しとしないモラルの持主で、中・韓両国にも同様の態度をとってきた。しかしこの“大人”の態度が裏目に出て、中・韓の悪宣伝が米欧諸国にも浸透するようになった。このため第1次安倍内閣時代に外務省には「事実をあげて反論するように」厳命されたが、外務官僚が歴史事実をキチンと勉強することを怠った。典型的な反論は「慰安婦の補償問題は1965年の日韓基本条約で解決済みであります」というものである。
 しかし韓国の言い分は「慰安婦問題は基本条約締結後に明らかになった問題だ」というものだ。仮にそうであっても基本条約は将来、発見された損害も含めて「全て解決すると約束」した条約だ。韓国側は日本企業に対する賃金支払い要求も慰安婦同様、条約締結後に判明した事実と持ち出してきた。こういう言い分が通るなら、過去のいざこざを一切合財終わりにしようという基本条約を結ぶ意味がない。
 第2に慰安婦問題は戦中には何ら問題にならなかった。日、韓ともに公認の職業で極めて有利な職業だったことを示す証拠も残っている。問題になり出したのは83年に吉田清治が「私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行」(三一書房)という本が出版されてからだ。吉田は軍の命令で済州島で“女狩り”をしたと言うのだ。「性奴隷」という言葉も日本人弁護士の造語ではやり出した。ところが現地の済州新聞は89年8月14日付で「済州島ではそういう事実はなかった」旨を報道し、吉田も嘘だったことを後に認めている。
 吉田の本の出版から8年後の91年8月11日、朝日新聞が「元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀 重い口開く」という大見出しの記事を載せた。朝日の記事に引っ張られて、93年には河野洋平官房長官が「日本軍の関与があり、強制性があった」旨の談話を出すに至る。しかしこの朝日の記事を読むとこの記事を書いた植村隆記者の誤報が一目でわかる。まず、女性が「女子挺身隊」の名で戦場に連行されたとあるが、女子挺身隊は私の姉も行っていたが、工場勤務の奉仕作業で朝鮮では行われなかった。また記事の中で女性は「親にキーセン(妓生)として売られた」と語っている。要するに親に置屋に売られたのである。心ある朝日の記者はこの記事を「世紀の誤報」として恥じている。
 靖国神社に戦犯が合祀されてのちも、歴代首相は21回も参拝し、同時に中・韓とも友好関係を保っていた。85年8月に中曽根康弘首相が参拝をとりやめたのは、古い友人の胡耀邦主席が「内紛で困る立場」になったからだ。
(平成26年2月5日付静岡新聞『論壇』より転載)
 
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