集団的自衛権解釈変更
―維新が第2極の中心に―
来年4月の地方統一選を目指して、維新、結い、みんな、民主党が主導権を取ろうと動き出している。維新はトルコへの原子力輸出協定で“大阪派”と石原慎太郎氏の“東京派”がねじれたが、集団的自衛権の解釈変更問題で党内は一致している。石原氏が結いの党代表の江田憲司氏の護憲思想を疑って維新・結いの合流交渉は一時停止している。この合併が実現すると、維新が野党第1党となり、国会運営の主導権を握るほか、第2極となる野党の体質をがらりと変えることになるだろう。日本の政治体制も戦後脱却に向うだろう。
選挙制度改革については衆、参両院で改革がスタートする段取りだが、とりあえず衆院は議員抜きの第3者による制度改革審議会を発足させる予定だ。現行小選挙区比例代表並立制は第1次~7次まで議員を入れて審議した結果、30年近くも結論が出ず、議員を外して第8次選挙制度審議会で、漸く結論が出た。自民党内では中選挙区制度への復帰論がかなり残っているが、若手は選挙資金が安上がりとあって小選挙区論が強い。改革の主要テーマは一票の格差問題で、選挙制度に手をつける話には発展しないだろう。問題は参院で定数是正のほか、本体の改革を迫られている。
衆院で小党が蠢いているのは第2極になる政党の核を狙っているためだ。小選挙区制度中心の制度を創った狙いは政権交代必至の制度だからだ。現在自民党が40%弱の支持率で盤石だが、他党は5%前後で犇めいている。民主党の海江田万里氏は何回か選挙を重ねれば、いずれ多数派になると考えているようだが、前原誠司氏や細野豪志氏は再編成が必要と考えている。
民主党が瓦解するほどの敗け方をしたのは日米安保条約を軽視し、中国に接近したことに尽きる。米国は怒り、中国も喜ばなかった。なぜこうした失敗が起こったかと言えば、憲法に対する考え方が党内で一致していなかったからだ。民主党は旧社会党勢力と保守派の混合政党だった。社民党は旧社会党の流れを汲む政党だが、社会党はかつて146議席、それが今や2議席に落ちぶれた。これは旧社会党の思想が亡びたと断じてもいい。その亡びた思想を党内に取り込んで、政党が成立すると考えたこと自体が誤りだった。小沢一郎氏も旧社の輿石東氏も国際情勢の変化とそれにつれて日本はどう対応すべきかという思考が欠落していた。
第2極の中心が維新になることは間違いないだろう。そこに集まる政党は少なくとも集団的自衛権の解釈変更を認める勢力でなければ、民主党の二の舞を踏む。将来を見据えれば「改憲派」である。橋下徹氏と結いの江田憲司氏は親しい仲だが、石原氏が待ったをかける理由は「護憲派」だと疑っている点にある。みんなの党は浅尾慶一郎氏に代替わりしたが、前代表の渡辺喜美氏の派閥運営方式は中選挙区時代の“親分”のやり方で時代錯誤だ。除名か議員辞職が当然だ。
(平成26年4月23日付静岡新聞『論壇』より転載)
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