筆者は5月10日、尹錫悦大統領就任式に招待され出席してきた。
尹大統領は夫人と共に同席した朴槿恵元大統領に頭を下げてお礼をするなど、丁寧かつ謙遜な姿が印象的で、自信に満ちた就任演説が聴衆にインパクトを与えた。
特に、就任の辞の冒頭で「自由民主主義と市場経済の回復」に触れ、「自由」を35回も強調するなど、自由韓国を取り戻す決意が感じられた。
尹政権が直面する優先課題は「新型コロナウイルス被害の救済」と「不動産供給の拡大」、さらに「脱原発の白紙化」だ。 特に、文政権が推し進めた「脱原発」政策を白紙化し、停止された原発を再稼働して韓国型原発を輸出する計画である。
政策推進に当たってキーワードとなるのは「正義」「公正」「常識」だ。
今回、保守系の尹大統領が当選したのは文政権の屈辱的な従北朝鮮、従中国路線と常識外れの不正と汚職によって信頼を失い、国民が背を向けた結果である。不正を許せない反骨心理とプライドの高い国民世論が背景にあるわけだ。
特に、尹大統領は検事総長時代に文政権から様々な圧力を受けながらも、文氏側近の不正・汚職を厳しく捜査した。現職の最高権力の汚職にメスを入れて、所信を貫いた尹検事総長に国民の支持が急騰し、大統領選での勝利につながったのだ。
国民は前政権が崩した経済を立て直して、外交・安保を常識の通じる姿へと正常化することを尹政権に期待している。
就任式の会場の空に虹が現れたのは、韓国の再跳躍の兆しと信じたい。
尹大統領は司法試験に9回挑戦して合格した苦労人で、51歳で結婚して子女がいない。
従って、賄賂や汚職がなく、所信を貫く国政運営をするだろうというのが大多数の国民の期待だ。
自炊生活で身に付いたキムチチゲと卵焼きが得意であり、就任後、初の週末には庶民が集う市場を訪れトッポッキやチヂミを買い、新しい靴を買い込んだ。至って質素な検事として所信を貫いてきた純粋な姿が国民の大きな支持を得ている。
今回はバイデン大統領が訪韓して韓米同盟関係の復元に向けた第一歩をしるし、尹政権に力を添えることになった。核を持たない韓国と日本は遠い強大国と同盟して隣の強大国を牽制するのが平和安保の鉄則である。これがウクライナ事態の教訓でもある。
(2022年5月21日付「世界日報」より転載)