「国際条約否定、国内法優先、司法権より国民感情第一主義の韓国」
―自らの責任を全うでききない未熟な国―

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会長・政治評論家 屋山太郎

 韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に「火器管制レーダー」を照射した。日本政府は厳重に抗議しているが、この行為は大統領が“告げ口外交”をして回るとか、意味不明の慰安婦像を世界のあちこちに建て回るといった、ふざけた行為とは訳が違う。責任者を特定して処罰し、国家として日本に謝罪すべき事柄だ。
 1910年、韓国併合に至る経緯(いきさつ)については諸説議論があるが、併合後に日本が行った朝鮮統治には文句のつけようがない筈だ。韓国併合を植民地化という人がいるが、その人は歴史を語る資格がない。欧米諸国はアジア全域を2~300年に亘って植民地化したが収奪の一点張りだった。しかし日本併合時、韓国には30%もいた奴隷が全員解放されたことを認識して貰いたい。36年間の日本併合が終わった時点で、朝鮮には5,200の小学校が建設されていた。これに先立って台湾でも小学校、中学校、帝国大学が建設されている。第一次大戦後に国際連盟を設立しようというとき、日本の主張は「人種差別の撤廃」一点張りだった。
 日帝36年間の治世の間に、人口は2倍になり、24歳だった平均寿命が30年以上伸ばされたことは、日本の政治が全体としてよかったことを物語るのではないか。
 1945年に日本の敗戦によって日朝が離別となった時、朝鮮人の同級生と抱き合って別れを惜しんだ記憶がある。1965年に日韓基本条約を結んで“離婚”の条件を整えた。戦争の始末ではないから“賠償金”ではない。独り立ちする韓国に餞(はなむけ)として無償3億ドル、有償2億ドル、計5億ドルの「経済協力資金」を出すことで合意した。戦時中徴用令があったが、朝鮮半島で徴用が開始されたのは昭和19年からで、現在、裁判を起こしている人たちは徴用ではなく、自発的に日本に出稼ぎにきた人達だ。
 基本条約では日本にいた韓国人の財産、給与の未払い分は全て協力資金の中から韓国政府が支払うことが決めてある。しかし当時の朴正熙大統領はバラバラに支出するより、公共事業として有効に使いたいと判断したのだろう。事業についての報告書を読んだことがあるが、立派な使い方である。
 個人的に保障されなかった人達はまず日本の裁判所に訴えたが、日本の最高裁で03年10月に敗訴。ところが韓国最高裁は「個人の企業への請求権は消滅していない」と判決。この結果、企業への請求権訴訟が相次ぎ、支払いを命ずる判決が相次いだ。国際条約を否定して国内法を優先させたのは、韓国では政治デモの方が司法権より強いということなのか。
 朴正熙氏の判断にもかかわらず、個人の請求権が残っているとしても、払うべき義務を負っているのは韓国政府だ。日本に請求するという筋違いを強行すれば、もはや韓国とまともに付き合う訳にはいかなくなる。
(平成31年1月2日付静岡新聞『論壇』より転載)