「次々と噴出する日韓間の諸問題」
―馴合いではなく、緊張感を持った対応を―

.

会長・政治評論家 屋山太郎

 昨年12月、能登半島沖で韓国海軍駆逐艦が日本の海上自衛隊P1哨戒機に火器管制レーダーを照射した。日本側が事実公表したのに対して韓国側はレーダー照射を否定。のちに「哨戒機が低空飛行をしたからだ」とも発表。自衛隊としてはいい加減な武器運用をしていると思われては不信を招くので、否定できない動画などを発表したが、相手は全否定の趣だ。もともとレーダーを照射されたら即、応射するのが国際常識。しかし日本は憲法9条の解釈上、応射することはないと、中国も韓国も承知している。応射されないから「脅かしてやれ」と照射するのかもしれない。
 この照射に対して日本の対応は今回は厳しかった。白黒つけて責任者をあぶりだす勢いだったが、互いの高官の訪問を停止することで止まっている。
 12月に日韓議員連盟と韓日議員連盟との合同総会が行われたが、恒例の総裁メッセージを安倍首相は出さなかった。首相が最初から日韓の関係を厳しくただそうと心に決めていたことが伺える。その意気込みに対して日韓議員連盟会長に就任した額賀福志郎・平成研究会会長の弛み加減はどうだ。議員同士が慣れあい、緊張感に欠けている。日韓議員関係を立て直すチャンスなのだ。
 日韓の軍事関係についても「表向きはギクシャクしているが軍同士の関係は仲良しだ」と、かつて岩屋毅防衛相は語っていた。稲田朋美元防衛相も同様の認識を漏らしたことがあるという。日韓防衛関係には緊張の糸が通っていない。韓国軍は米軍よりも北側にもたれかかりたいのではないか。
 80年代に中学、高校教科書に「従軍慰安婦強制連行」という単語が使用されていたことがある。私は教科書印新運動の一員として、まず「従軍慰安婦」という単語が公式に使われていたかどうかを調べた。旧軍の資料をすべて検討して当局にも糺した。次に「強制連行」の実態があったかどうかを調べた。旧軍の資料をすべて検討したが「無い」という。強制連行があったという時期に、朝鮮で発行されていた新聞にしばしば「慰安婦募集」の広告が載っていた。月給は月300円だという。大学出が月20円程度の時代にこういう広告が出るのに「強制連行」などありえない。「従軍」と「強制連行」を除くと、ただの「慰安婦」である。わざわざ中学校で慰安婦を教える必要はないと教科書から省かれた。
 教科書に慰安婦問題をプレイアップし続けてきたのは朝日新聞である。済州島で慰安婦狩りをしたという虚構の本を宣伝し、さんざん軍の慰安婦を宣伝した後、32年経って「記事取り消し」だという。800万部の朝日新聞が半分に落ちつつあるのは当たり前だろう。徴用工に賠償金を払えということになっているが、この訴訟を日本で取り上げさせたのは福島瑞穂議員。日本では敗訴したが韓国では勝った。政争の具に使うのは反則だ。
(平成31年2月6日付静岡新聞『論壇』より転載)

<訂正とお詫び>
文中、「福島氏の実妹は北朝鮮に生存している。」との記載がありましたが、ご本人より、実妹はいないとの申し出がありましたので、当該部分を削除致しました。訂正してお詫び申し上げます。