日本共産党の衆議院選挙戦略と悩ましい党勢の現状

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政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

 日本共産党は、今年1月15日から18日の4日間をかけて、第27回党大会を開くことにしている。同党の場合、他の政党と違って党大会を毎年開かない。党規約で「二年または三年のあいだに1回ひらく」とされている。一日で終わることはなく、数日間に亘って開催される。場所は、静岡県熱海市にある党員研修施設「伊豆学習会館」に全国から約1000人の代議員を集めて行われる。それだけに、同党にとって最も大きなイベントと位置付けられている。
 この党大会で最も重視されているのが、言うまでもなく次の衆院選挙である。

共産党と市民の共闘などどこにもない
 共産党の党大会は、事前に大会決議案が発表され、それに基づいて全党的な議論が行われることになっている。「全党的な議論」と言えば聞こえは良いが、実態は毎回、党大会までに決議案を読む党員はせいぜい3割程度であり、「全党的」というのは建前に過ぎない。
 それはともかく、この決議案を読んでみるとなかなか威勢が良い。まず冒頭には、「安倍自公政権とその補完勢力に、野党と市民の共闘が対決する、日本の政治の新しい時代が始まった」とある。昨年の参院選挙や安保法制反対の運動のことである。
 確かに昨年7月の参院選挙では、全国32の一人区の全てで野党統一候補が実現し、11選挙区で野党候補が当選した。同年10月の新潟県知事選挙でも、東電柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な姿勢をとる候補が、自公候補に勝っている。
 この結果が共産党を大いに元気付けさせるものであったことは疑いない。野党共闘が功を奏したことも間違いない。だが本当に「野党と市民の共闘」が実現していたのだろうか。共産党は、安保法制反対運動の中でSEALDs という学生の運動を高く評価し、日本の政治史上初めての「市民革命的な運動」などと述べてきた。だがそのSEALDs はわずか数十人の学生の運動に過ぎない上、既に解散している。
 国会前のデモは、多くのメディアに大々的に取り上げられた。学生が安保法制反対の声を挙げたことが珍しかったからである。学生がこの種の運動に参加するのが70年安保以来であった。だがそのSEALDsの周りに集まっていた多くは高齢者だった。ここには少なくない共産党員も含まれていたはずだ。何しろ今や共産党は高齢者が大半を占める党なのである。