ロシアが北朝鮮の軍事技術(特に、弾道ミサイル)開発を支えている

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政策提言委員・軍事アナリスト 西村金一

はじめに
 「北朝鮮が核兵器や弾道ミサイル開発が進んでいるのは、中国が支援しているからだ」と、中国による北朝鮮の支援が表面上取り上げられている。支援の内容を見てみると、それは主に経済的な支援である。軍事技術協力については、ロシアの協力の比重がはるかに大きい。国家による支援なのか、研究者個人による協力かどうか、または、両方なのかは区別できないが、何れにしても、ロシアが協力していることは事実である。米財務省もこの6月に、北朝鮮の兵器開発を幇助したとして、ロシア企業を含む9組織と3個人を新たに制裁対象に追加した。
 北朝鮮は昨年5月の党大会で、核開発と経済再生を同時に行う「並進路線」を引き続き進めることとした。並進路線における核開発の面では、核兵器や弾道ミサイルの開発をロシアから、経済再生の面では、必要な資金協力を中国から得ている。
 金正恩の父である金正日総書記時代までは、北朝鮮は、中国かロシアか一方に肩入れして天秤にかけてきた。金正恩委員長時代になってからは、両国を手玉に取っている。つまり、両国を天秤にかけるのではなく、両国を上手く使い分けていると言って良い。
 本稿では、日頃、中国による北朝鮮への支援の陰に隠れてしまっている北朝鮮とロシアの関係、特にロシアの弾道ミサイル開発協力にスポットを当てて、①これまでの北朝鮮とロシア(旧ソ連)の関係、②北朝鮮が、ロシアのミサイル技術を気付かれないで、上手く導入していることの実態について、分析し、解説を行う。

1.北朝鮮とロシア(旧ソ連)のこれまでの軍事関係
 北朝鮮はこれまで、中国のカードを見せつつ、ロシア(旧ソ連)の軍事技術を上手く取り入れてきた。
 朝鮮戦争が休戦状態(1953年)になると、北朝鮮と旧ソ連は、1956年に原子力協力に関する協定を、1961年ソ朝友好相互援助条約を締結。またソ連は、戦争後の復旧のために「10億ルーブル援助協定」を締結して支援した。
 1962年~1964年頃までは、北朝鮮は中印国境紛争において中国を支持、ソ連を「現代修正主義」と批判するなど親中・反ソの時期であった。1964年~1970年頃までは、文化大革命時期の中国との関係が冷却することと米韓関係が強化していることによる軍事的対応の必要性もあり、ソ連との関係は改善された。
 1970年~1990年頃までは、経済・軍事面ではソ連、心情・文化面では中国という等距離政策を採った。