中国「19 大」の人事

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政策提言委員・拓殖大学海外事情研究所教授 澁谷 司

今秋の「19 大」人事
 2017年秋(10月18日)、中国では中国共産党第19回全国代表大会(以下、「19大」)が開催される。そこで今後5年間の重要人事が決定する。注目されるのは、政治局のメンバー(25人と、その中から選ばれる政治局常務委員(中国最高幹部)だろう。
 今回のポイントは主に次の2つである。第1に、中国の政治局制度に変更があるのかないのか。第2に、「19 大」で定年退職予定の王岐山が政治局常務委員として残留するかどうかである。特に、王岐山の去就が最大の注目点だろう。
 江沢民時代(「14大」「15大」)以降、政治局常務委員は7人構成だった。だが、胡錦濤時代(「16大」「17大」)、江沢民の意向が反映され、同常務委員は9人制となった。ところが、習近平時代(「18大」)になり、再び以前の7人制へと戻された。
 政治局常務委員の人数だが、(1)0人、(2)5人、(3)7人、(4)9人が考えられる。
 まず、(1)の0人とは政治局常務委員制(形式的には民主的な制度)を廃止して、「核心」である習近平主席が大統領(中国語では総統、或いは党主席)になる。今の専制的習近平体制が、益々独裁色を帯びてくるだろう。
 次に、(2)の5人ならば、政治局常務委員の数が減り、たとえその中に「共青団」の李克強が残ったとしても、あとは全て習近平人脈――主に「太子党」プラス「習近平閥」=「之江新軍」――で固められるだろう。恐らく習近平主席の側近中の側近、栗戦書は政治局常務委員になる公算が大きい。
 問題は、王岐山(今秋69歳)の処遇についてである。習近平主席としては、盟友の王を常務委員として残したいだろう。だが、習近平・李克強を除く5人は「七上八下」(67歳までは任期を継続できるが、68歳以上は引退)のルールに従えば、王岐山も常務委員として残れないはずである。
 そして、(3)の7人は“現状維持” である。しかし、ここでも習人脈の人事が主流となり、「共青団」系の汪洋や胡春華(「革命第6世代」の本命と目されている)が入局できるかどうかが注目される。
 最後に、(4)の9人だが、常務委員の人数が増える事は考えづらい。しかし、たとえ9人へと増員されても、習近平人脈で固められる可能性が高い。
 さて、2017年6月7日付、米『ニューヨークタイムズ』紙に、鄧聿文(Deng Yuwen)の「中国『19大』前の4つの挑戦」という論文が掲載された。概略を紹介したい。
 この鄧聿文( 49歳)は江西省新余市出身で、中国国民党革命委員会(所謂、国民党「左派」)に所属している。鄧は記者、作家、評論家という肩書を持つ。
 鄧聿文によれば、「19大」を前にして、習近平政権は次の「4つの挑戦(課題)」に直面しているという。