北朝鮮の弾道ミサイル解説

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政策提言委員・軍事アナリスト 西村金一

はじめに
 最近、北朝鮮弾道ミサイルの脅威が危機的状態にまで高まり、かなり注目されている。だが北朝鮮のミサイルが北朝鮮軍、或いは米軍の呼称であること、各種ミサイルを次々に発射することから、ミサイルの識別が混乱しているところもある。
 今号では、①大型の弾道ミサイル(名称不明)② KN-08及びKN-14 ③火星14号 ④火星12号 ⑤ムスダン ⑥ノドン ⑦スカッド ⑧スカッドCMaRV(対艦弾道ミサイル?)⑨テポドン ⑩北極星2号 ⑪北極星1号等、ミサイルの種類・性能諸元・特色について、私の分析結果を加えて、整理する。
 最後に、これらのミサイルが日本に向けて発射される場合、日本の対応はどうあるべきかについて、私の考えを簡単に紹介する。
大型・最新のミサイルの順に説明する。

1.大型の弾道ミサイル(名称不明)
 今年(2017 年) の金日成主席生誕105年記念軍事パレード(4月15日)に出現した大型の弾道ミサイル(大陸間弾道弾ICBM)が2種類ある。
 1つは8軸車輪の移動発射台に搭載されているミサイル(写真1)で、ロシアのSS-25弾道ミサイルに酷似している。
 もう1つは、大型トレーラに搭載されている弾道ミサイル(写真2)である。ミサイル本体は、前述ものと大きさと形が似ているので、同じものと判断してよいだろう。
 この2つのミサイルは、まだ、一度も飛翔実験が行われていない。北朝鮮の次世代の本格的なICBMであり、米国全土に核兵器を搭載して、撃ち込むことができるミサイルになるであろう。
 ミサイルを入れている筒(キャニスター)の中には、KN-08(14)或いは火星13号、火星14号が入っている可能性もある。

2.KN-08 及びKN-14 弾道ミサイル
(1)KN-08弾道ミサイル
 2012年4月の軍事パレードに初めて出現した2段式大型弾道ミサイル(大陸間弾道弾:ICBM)である(写真3)。このミサイルが米国本土に最初に届くと見られていた弾道ミサイルである。火星13号であるという情報もある。KN-08ミサイルは、化学材料研究所を視察していた時の金正恩の背後の壁に描かれた3段式の火星13号とは形状の違いや2段と3段の違いがあることから、このミサイルが火星13号であるとは評価できない。
 その諸元について、全長:19.08~19.39m、直径:1.8~2.0m、射程11,500km( 第1段ロケットの大きさや、第2段ロケットからこのデータの方が正しいと見ている)、又は6,000~9,000km、ペイロード:300~700kg。ミサイルの飛翔実験は確認されていない。