フランスから見た最近のテロ動向
―ISの中東領土支配は終焉へ、 欧州でのテロリスクは依然として残る―

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研究員・S.Y. International 代表 吉田彩子

<div><span style="font-size: 16.8px;"><b>はじめに</b></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"> 2014年6月にアル=バグダディによりモスルで“イスラム国“の設立が宣言され、その後有志連合軍による対IS( イスラム国、ダーイッシュ) 戦が始まってから3年以上が経過し、イラクでは、2017年12月9日にアバディ・イラク首相がイラク政府のISに対する勝利を告げた。</span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"> シリアでも、南部や東部の砂漠地帯に生き残った戦闘員らの抵抗勢力があるものの、ISの領土支配は終焉したと言える。5月21日にはシリア軍報道官が首都ダマスとその周辺に残っていたIS戦闘員を完全に排除したことを伝えており、今後IS勢力が再度“領土支配” という形により台頭することは不可能だと見られている。</span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"> こうして、イラク―シリアにわたる広域を支配するカリフ制国家の設立を試みたサラフィージハード組織であるISは弱化し、終焉へと向かっているが、その影響力は未だに大きい。他の武装組織に潜り込んだり、国境を越えて世界各地で起きている紛争に参加する生き残ったIS戦闘員もおり、“反西洋” を掲げサラフィージハード主義を拡散させようとする勢力は今後も消滅する訳ではない。</span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"><br></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"><b>欧州に残るテロリスク</b></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"> 中東の紛争地域でジハードに参加しようとする若者は減ったものの、紛争地域から戻ってくる帰国戦闘員やその家族の対応、そして国外に行かれずに国内で過激化した人物がテロを起こそうとすることなどが現在大きな問題となっている。</span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"> 今年1月末には、Centre dʻAnalyse Terrorisme(テロリズム分析センター)が、西欧諸国において、2017年には2016年よりも多くのテロが発生したことを伝えた。テロ関連事件が合計62件、そのうちテロは15件、テロ未遂事件は7件、テロ計画は40件で、2016年にはそれぞれ14件、4件、36件であった。欧州からシリア―イラクの紛争地へ発つ若者の数は減少しているが、欧州におけるジハード現象は収まったとは言えない。西欧諸国の中ではフランスが一番被害を受けており、5件のテロ、6件の未遂事件、20件のテロ計画があったと報告されている。</span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"> 特に2月と8月に多くの事件が発生しているとされ、西欧諸国で起きた45%の事件は治安関係者が狙われており、フランスではその割合が67%となる。最も多く使われたのはIED(即席爆発装置)である。2017年にEUで起きたテロにより62人が死亡、329人が負傷しており、被害者は合計391人となる(2016年の被害者は合計551人)。</span></div><div><br></div>