敗戦国体制の本質を考える(中)

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政策提言委員・高知大学名誉教授 福地 惇

<div><span style="font-size: 16.8px;"><b>Ⅳ 米軍占領支配の目的は主権国家日本の解体 </b></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"> 大日本帝国陸海軍は連合国軍(主力は米国軍)と勇猛果敢に戦ったが、衆寡敵せず敗色は濃厚になった。我が国を異常に蔑んでいたフランクリン・D・ルーズベルトは日本を「無条件降伏」させるべしと叫んだが、日本圧伏を目前にした1945年4月に病没した。副大統領のハリー・S・トルーマンが後任大統領に昇格したが、日本軍はまだ抵抗力を失っていないと判断する陸軍長官スチムソンらと協議して、日本本土決戦で予想される甚大な人的・物的損害や占領支配の計画とを勘案して、主要都市の無差別絨毯爆撃と原爆投下で日本軍の抵抗を粉砕する作戦を展開した。然る後に、国家存続の最低条件を認める形で降伏させる、その条件である全13条の「ポツダム宣言(日本への降伏要求の最終宣言)」を米英中3ヵ国首脳連名で1945(昭和20)年7月26日に我が国政府に突き付けた。基本的には、日本帝国陸海軍の無条件降伏要求であったが、全文から読み取れる主旨は、日本国家の無条件降伏強要であった。日本国政府(鈴木貫太郎内閣)は、この宣言が「國體護持」を認めたものと不確かな判断で受諾を返答した。敵は狡猾至極なので、已むを得ぬ判断だと言うべきかも知れないが、非常に浅薄な読解力だったと言うほかない。</span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"> ポツダム宣言に示された占領軍の敗戦国改造目的は、第1に世界の平和と安全、正義の敵である軍国主義者の永久除去が先ず示され(第6 条)、第2に「吾らは日本民族を奴隷化し、国民として滅亡させようとは意図しないが、戦争犯罪者は厳重に処罰する。敗戦国政府は日本国民の間における民主主義的傾向を復活強化する上に障害になる一切を除去せよ。言論・宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重を確立することが重要」(第10条)だ。因みに言えば、彼らが徹底的撲滅の対象に指定した「軍国主義」の基盤には「国家主義」がある。従って、主権国家への復活阻止がこの条項には秘められていたと筆者は解釈する。要するに、民主主義と自由主義を信条とする「グローバル・スタンダードの国」に組み換えれば「国家再生」を認めるが、それを拒絶すれば「奴隷民族」の運命だぞと凄んでいたのである。第3は、再軍備に益する産業再建は一切ご法度だが、平和産業再建は許す。その生産物は予定される賠償支払いに充てるべし(第11条)だ。第4には、「前記諸目的が達成され且つ日本国国民の自由に表明せる意思に従い平和的傾向を有し且つ責任ある政府が樹立せらるゝに於いては連合国占領軍は直ちに日本国より撤収する」(第12条)である。</span></div>