日米中三国関係の行方

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産経新聞ワシントン駐在客員特派員 古森義久

 新しい年2019年の日本の国家安全保障を考えるとき、最大の要因は当然ながらアメリカと中国の動きであろう。アメリカはいうまでもなく日本の同盟国である。中国は逆に日本に脅威を及ぼす国である。そのアメリカと中国が今や激しく対決するに至った。その谷間で日本はどのような影響を受けていくのか。どう構えるべきか。日米中三国の関係の現状と展望を論考したい。
 この三国関係の基本的な特徴はアジア・太平洋の安全保障に関して日本とアメリカは現状維持勢力であり、中国は現状変革勢力であることだ。現状打破勢力とも言えよう。
 日本とアメリカは安全保障でも基本の利害や価値観を共有する同盟国同士であるのに対して、中国は利害や価値観は日米両国とは不一致の存在である。その中国の現状打破への勢いがかつてなく激しくなってきた。その中国の動向こそ日米両国にとっていま最大の安全保障面での不安定要因だと言える。
 さて日本もアメリカも2019年の現在、対中関係の大きな転換点を迎えた。日米両国とも中国との協調を目指す長年の関与政策が失敗に終わり、変革を強いられてきたのだ。

日本の対中ODA政策の失敗
 安倍晋三首相は2018年10月下旬、中国を訪問し、日本政府の対中ODA(政府開発援助)の終結を宣言した。日本はそれまでの40年近くも総額3兆6千億円にものぼる公費であるODAを中国に提供してきた。
 対中ODA供与は日本の対中外交では最大の要素だった。その狙いは中国の経済発展に寄与すれば、中国は日本に友好的な姿勢をとり、中国の政治体制も日本や外部世界に対して協調的になる、ということだった。この意味ではアメリカの歴代政権による中国への協調的な姿勢、関与の政策に似ていた。
 だが日本はこの巨額の対中ODA供与で意図した目標は全く達成できなかった。その対中ODA外交の失敗は日本の対中関与政策の失敗でもあった。
 その実態を3つの領域に分けて報告しよう。

(1)日中友好に寄与せず
 対中ODAへの日本側官民の最大の願いは明らかに「友好」だった。このODAが始まった1979年当時の大平正芳首相は目的として「日中友好」を強調していた。ODAの供与によって日中関係の友好を推進するという意味だった。
 その後、ODA総額が大幅に増えた1988年当時の竹下登首相は「中国人民の心へのアピールが主目的」と明言した。これまたカギは「日中友好」だった。
 この場合の「友好」とは、ODAにより中国側官民に日本の善意を示し、努力を見せ、認知や感謝を得て、中国側の日本に対する感情や態度、政策をよりよくすることだろう。