サイバーセキュリティ
― 平成の30年 ―

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政策提言委員・元陸自自衛隊システム防護隊初代隊長 伊東 寛

<div><span style="font-size: 16.8px;"><font color="#4e4e4e"><b>平成の30年間のサイバーセキュリティの流れを概観する</b></font></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"><font color="#4e4e4e"><b>・初めの物語~パーソナル・コンピューター:パソコン</b></font></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"><font color="#4e4e4e"> そもそも、パソコン(PC)を普通の人々が手にすることができるようになったのが1980年頃であろうか。それは平成元年に先立つこと10年ほど前になる。世界で最初の最も成功した一般用のパソコンといえばアップルIIで、その発売は1977年だが、その後継機であり今でも根強いファンのいるマックは、そのお披露目が1984年であった。またシェアで現在、世界を席巻しているウインドウズPCの元祖であるIBM-PCの発売もこの頃である。我々日本人にとって最も懐かしい記憶があるパソコンといえばPC98で、それが日本電気から発売されたのは1982年であった。有名な表計算ソフトのエクセルがマック版として最初に世に出たのは1985年であり、その頃からPCが真に仕事に使えるようになり、世界に広がっていったことを考えると、平成元年は西暦1989年であるのだから、実用的なPCの歴史はほぼ平成の歴史ということになる。</font></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"><font color="#4e4e4e"><br></font></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"><font color="#4e4e4e"><b>・インターネットの始まり</b></font></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"><font color="#4e4e4e"> インターネットが厳密にいつから始まったのかという問いに答えるのは難しいが、インターネットの基本的なプロトコルであるTCP/IPが生まれたのは1983年。日本のインターネットの父と呼ばれる慶應大学の村井先生が慶應と東工大を繋いだのは1984年であった。この時代にはネットはまだ一部の研究者のものであり、一般に広がるには更に10年を要したことを考えれば、やはり、インターネットも平成の歴史に重なるといえよう。このように、振り返って見るとサイバー技術発展の歴史は、平成の歴史にほぼ被ると言っても良いかも知れない。</font></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"><font color="#4e4e4e"><br></font></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"><font color="#4e4e4e"><b>・初期のサイバー犯罪</b></font></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"><font color="#4e4e4e"> さて、サイバーセキュリティに目を転じてみると、サイバー犯罪の極初期における代表的存在は、世界初のランサムウェアとして知られる「PCサイボーグ(別名AIDS Trojan)」ではないかと思う。ランサムウェアというのは最近、報道でも耳にするようになってきたが、要は、感染するとそのPCを使えなくしてしまい、代わりにお金を要求する悪いソフトウェアのことだ。</font></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"><font color="#4e4e4e"> PCサイボーグによる被害が発生したのは、ジャスト平成元年である。攻撃者はランサムウェアを入れたフロッピーディスクを郵送で2万通、ターゲットに対して送りつけた。フロッピーディスクのラベルには「AIDS Information Introductory Diskette(エイズを知るための入門ディスク)」と記載されており、受け取った人が興味を持ってこのフロッピーの中を見ようとするようになっていた。</font></span></div><div><span style="font-size: 16.8px;"><br></span></div>