次期台湾総統選挙のゆくえ

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政策提言委員・拓殖大学海外事情研究所教授 澁谷 司

 来年2020年1月、台湾では次期総統選挙が実施される。第7回目の民選である(1990年以前は、国民大会が正副総統を選出していた)。本稿では、次期総統選について様々な角度から考察してみたい。

1、統一地方選挙と総統選の相関性
 昨2018年11月24日(土)、台湾では統一地方選挙が実施された。選挙結果は、与党・民進党の惨敗だった。特に、次期総統選挙を占う意味でも重要な6直轄市で、民進党はたった2勝しかできなかった。
 台北市:無所属(「親中派」へ転向)の柯文哲市長が国民党の丁守中候補を何とか振り切って、当選を果たした。民進党の姚文智候補は、柯・丁に大きく水をあけられている。
 新北市国民党の侯友宜候補が予想通り、民進党の蘇貞昌候補を破った。
 桃園市:民進党の鄭文燦市長が安定した戦いで、国民党の陳学聖を下している。
 台中市:国民党の盧秀燕候補が民進党の林佳龍市長に20万票以上の大差つけ、圧勝した。
 台南市:民進党の黃偉哲候補が国民党の高思博候補に勝利した。だが、ここは民進党の地盤である。本来ならば“楽勝”のはずなのに、黄は高に追い込まれている。
 高雄市:落下傘候補である国民党の韓国瑜が民進党の陳其邁候補を14万票以上の差をつけて勝利した。
 結局、6直轄市で、民進党が2議席、国民党が3議席(その他、無所属1議席)という結果に終わった。この結果を見る限り、次期総統選で、民進党は、厳しい戦いを余儀なくされるだろう。

 民進党の主な敗因を挙げてみたい。
(1) 政権発足当初、外省人2世の林全を行政院長に指名した。だが、その能力に欠けていた。その後、頼清徳を行政院長に代えても、蔡英文政権の人気を回復できなかったのである。
(2)「休日問題」で一時、社会が騒然とした。また、「年金改革」では、(かつて優遇されていた)公務員・教師・軍人から恨みを買っている。
(3)「新南向」政策が機能せず、依然、経済があまり良くない。ただ、中国が不景気なので、仕方ない面もある。
(4) 蔡英文政権は、同性婚問題を全面に押し出し過ぎた。統一地方選と同時に実施された「公民投票」で同性婚問題に深入りし、台湾基督長老教会(プロテスタントの「福音派」。以下、長老会)を怒らせ、その支持を失っている。
(5)「 独立志向」の強い「深いグリーン」が、蔡政権に対し新国家建設へ向かわない現状に苛立ちを募らせていた。
(6) 蔡政権は日本の原発事故周辺県からの食品輸入解禁を焦った。