中国は国家主権、人権、民主主義の敵

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政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

パンデミックは中国とWHOの責任
 台湾政府で新型コロナウイルス対策本部のトップを務める陳時中衛生福利部長は4月11日の記者会見で、台湾は昨年12月31日、中国湖北省武漢で原因不明の肺炎にかかった人がいることについて、現地の報道に基づいて世界保健機関(WHO)側に電子メールで通報。「複数の患者が隔離治療されている」として、人から人への感染の可能性を示唆し、警告したものの、無視されたという。
 中国が人から人への感染を認めたのは、今年の1月20日である。勿論、台湾政府にも分かったわけだから、中国政府も昨年から分かっていたはずだ。だが情報を隠蔽してきた。WHOは、中国が人人感染を認めたので、漸く1月23日の緊急会合を開いたが、「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態宣言」を「中国国外での人から人への感染が確認されておらず時期尚早」だとして見送った。中国で人人感染が起こっているなら、世界のどこでも起こり得ることは素人にでも分かることだ。
 何故こんな判断になったのか。30日付の仏紙ルモンドによれば、22日、23日と行なわれた緊急会合には、中国代表がオブザーバーとして参加して「宣言は問題外」と圧力をかけたからだという。
 だがその直後から日本やベトナムで人から人への感染が確認された。そのためWHOは30日に緊急会合を開き、漸く「緊急事態」を宣言した。だがそれでもテドロス事務局長は、「人の移動や貿易の制限を勧めるものではない」と語ったのである。
 感染拡大防止のためには、渡航制限や交易制限が必要なことは常識である。現に日本での最初の感染者も、武漢からの観光客を乗せたバスの運転手である。日本での最初の感染者は中国人観光客によってもたらされた。この発言によってどれほど世界への感染を広げたことか。パンデミック(世界的大流行)は中国とWHOによってもたらされたのだ。
 テドロス事務局長は、「中国政府は感染拡大阻止に並外れた措置を取った」「中国政府の努力がなければ、国外感染はもっと増え、死者も出ていたかも知れない」「中国は感染封じ込めで新たな基準を作った」などと中国を絶賛し続けた。
 テドロス氏はエチオピア出身で同国の保健相や外相を歴任してきた。エチオピアは、鉄道や電力などのインフラ事業で中国から巨額の投資を受け、対中債務の利子を帳消しにしてもらうという深い関係にある。WHO事務局長就任も中国が後押しをしたと指摘されており、就任時からその中立性が疑われていた。
 テドロス氏は、1月28日に北京を訪れ習近平国家主席と会談した。