チベットにおける中国の民族浄化政策
―日本は何を学ぶべきか―

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政策提言委員・拓殖大学国際日本文化研究所教授 ペマ・ギャルポ

 皆様、こんにちは。本日はこのような大勢の皆様に、チベットの現状及び中国の本質についてお話をする機会をいただき心から感謝申し上げます。今日は日本の各方面に影響力のある方々にお集まりいただいておりますので、本当の中国の姿を少しでもご理解いただければと思います。
 
日本の中国認識の誤り
 まず、私が半世紀に亘って日本で生活している中で一番気になっていることは、日本人の中国に対する認識の誤りについてです。皆様はよく、「中国五千年の歴史」や「あの広大な中国」と仰いますが、そうではありません。少なくとも70年前は違いました。当時の中国は日本と戦争していましたが、我々チベット人は日本人と戦争していません。フランクリン・ルーズベルト米国大統領から協力を要請された時も、チベットは拒否しました。また、ニュージーランドや豪州等は日本に対する経済制裁の一環として羊毛の輸出を停止しましたが、その時、チベットは米国やヨーロッパに売る予定だった羊毛を日本へ都合しました。少なくとも日本人の言う「中国五千年の歴史」や「あの広大な中国」は、日本人自らが作った幻想以外の何物でもないということを先ず申し上げます。そこから中国に対する認識を変えていただきたいのです。
 この地図を見れば明らかですが、これが本来の中国の領土です。私は1980年にチベット亡命政府からダライ・ラマ法王の代表団として調査に行きましたが、当時の中国は文化大革命の後であり、経済は殆ど破綻していました。鄧小平は国を再建するためにあらゆる手を尽くし、国際社会に対してもこれからの中国は他国と仲良くするという柔軟な姿勢を見せていました。今考えるとその世論作りに我々も利用されたと言えますが、チベット問題に関しても「独立」以外は何でも話し合おうと言っていました。その条件として、我々は北京政府の民族統一工作部の人間及び民族委員会の幹部らに引率され、国境を確認しました。現在そこの一部がチベット自治区として残っています。また、青海省と呼ばれている場所は、本来は「アムド地方」と言い、ダライ・ラマ法王14世がお生まれになった場所です。私が生まれた「カム地方」は現在の四川省と雲南省に分割され、さらに甘粛省にはトルコ系やチベット系等の諸民対する認識を変えていただきたいのです。
 この地図を見れば明らかですが、これ族が暮らしています。
 このように見ていくと、現在の中華人民共和国の領土の63%は非支那人の領土です。