いま慰安婦とアメリカ

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産経新聞ワシントン駐在客員特派員 古森義久

はじめに 
 日本と韓国との間の障害だった慰安婦問題はいまどうなったのか。2015年末に両国外相による慰安婦問題での「最終合意」が成立したことがその後の両国関係をどう変えるのか、或いは変えないのか。更には日韓両国にとって特別の重みを持つアメリカの反応はどうなのか―。 
 2015年12月28日に発表されたこの外相合意は日韓両国間で長年、摩擦の原因となってきた慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」と宣言していた。だから日韓関係の長い歴史でもその言葉の意味する限りでは画期的な合意だといえよう。 
 その合意成立からちょうど2ヵ月、前記のような諸点の状況を2016年2月末の時点で報告しよう。この報告では視座を筆者の駐在するアメリカの首都ワシントンに置くことにする。 
 このアプローチは単に筆者がワシントンで報道や評論の活動をするからというだけでなく、アメリカの反応や認識が特に重要だという点で合理性があるといえる。超大国アメリカの反応は国際社会全体の反応を測る際の最有力の指針となる。その上アメリカは、日本と韓国両方にとって最重要の同盟国である。  
 更には日本と韓国が昨年末の合意を纏めるにあたり、その最大の推進役となったのがアメリカだった。オバマ政権は日韓両国が慰安婦問題での対立を解消し、安全保障面で共同歩調をとることを強く望んでいた。 
 朴槿恵大統領は安倍晋三首相との首脳会談について「日本側がまず慰安婦問題で誠意のある措置をとる」という前提条件を就任当初から大きく振りかざしていた。3年半後にその条件を引っ込めて会談に応じたのも、オバマ政権からの圧力が大きな要因だった。昨年末の日韓合意もオバマ政権が強く望み、特に硬直な韓国側の姿勢を軟化させた結果だといえる。 
 ではまずアメリカ側の反応を見ていこう。但しアメリカといっても多様である。ここでは第1にアメリカの政府と議会、第2にニュースメディア、第3にアメリカ側の活動家や学者、第4にアメリカ国民一般、と4つの分野に分けて報告しよう。