2008年あたりから表題のような恐ろしい情報が新聞などに報道されるようになった。外資が日本の国土を狙う目的は何か。最悪のシナリオは中国の日本侵略であるが、その前段として日本に水源地を求め、次のステップとして国土を、というのはいかにも中国らしい遠謀術策で心が凍る。計画の途中でも、中国にとって水は魅力的であり、行き掛けの駄賃となり得る。この表題につき自分が情報を仕入れる過程で、水について殆ど知らないことに気が付いた。先ずは水について学び、多面的なアプローチの入り口にしたい。
1995年、世銀のイスマイル・セラゲルディン副総裁は「21世紀は水獲得問題が原因で戦争が起こる可能性が高い」と予測した。私達日本人は水と安全はタダだという大きな誤解をしているオメデタイ民族であり、水より先にエネルギー源としての石油の取り合いではないのかと思ってしまう。しかし世界各地で絶え間なく発生している国際河川をめぐっての紛争を考えると、またマイナス情報は徹底的に隠したがる中国でさえ安全な水を求める国民の暴動があちこちで報道され、中国は水とともに蒸発しつつあるという意見に接すると、なるほど水が火付け役になることもあり得るかなと思う。
左図は『文明の環境史観』(安田喜憲著 中公叢書)からの図であるが、ユネスコの予測した2025年頃に旱魃の被害を受けて発生する環境難民の移動方向を示したものである。2025年というと右肩上がりの中国の軍事力と経済力とが、右肩下がりのアメリカのそれとが交差し、中国1局支配のアジアが始まる頃であると言われている。しかし、実は火力に優れても水に泣かされるのが中国である可能性がある。現在既に地下水の危機に直面しているのが、河北平原、インド北西部、パキスタン、中近東、アラビア半島、北アフリカ、アメリカロッキー山脈東部である。華北発の難民が押し寄せる先はどうやら日本などであり、「中国は水とともに蒸発しつつある」という意見はまんざら否定できない。
水不足に悩む国々は、先ず井戸掘削による地下水開発に励むらしい。地下水は水を運ぶ施設の建設が不要であり、電気代で入手できて安価であり、清潔・安全であり、年間を通して低温であり、更には美味である。世界の飲み水の1/3は地下水から供給されている。このため飲み水としてのボトルド・ウオーターの消費は世界各地で増大している。
しかし、有毒な地下水に悩まされる地域もある。地域の下層土の特異性と、次第に深堀りしないと水層に至らなくなってきた現実が主因である。例えばバングラディッシュとインド・西ベンガル州では3〜8千万人が井戸水によるヒ素中毒に悩まされており、中国北部では7千万人が、インド北西部では3千万人がフッ素中毒に悩まされている。一般的には地下水の水質悪化は病原菌、化成肥料成分、農薬、重金属、油、灌漑で蓄積される塩により齎される。有難いことに日本ではこのような例は報告されていない。
一方地下水は美味しく健康的であるという宣伝に乗せられ、容器入り地下水をミネラルウオーターと呼び日本でも販売されるようになった。元はと言えばヨーロッパのように硬度が高い水道水を飲み続けると、時に結石を起こすため、硬度の低い軟水を売るヨーロッパの習慣が日本に入ってきたものである。人は1円でも安いガソリンスタンドを求めて右往左往するが、ガソリンとそんなに値段が変わらない高価なミネラルウオーターの必然性には無関心であり、無駄な消費を続けている。
日本の飲料水業者、例えばサントリーが山梨県北杜市の地下水から採水して販売しても、地域行政の合意と指導のもとに適切な量を採水している限りは問題ない。問題は日本の法律に従わずに国益に反するやり方で採水しても、その土地所有者が外国人で違法行為を行っても事務連絡などに時間がかかり、場合によっては行政指導が無視される可能性が強いことである。もともと日本の土地所有はその土地の地下深く存在するものまで土地所有者に帰属するとする、土地の公益性を無視するものであることが問題であり、土地の所有者が土地の転売によりころころと変わることも許されているなど、土地所有制度に決定的な欠陥がある。この問題の要因は多岐にわたり、順次問題点を明らかにして
改善策を考えてゆきたい。
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